観衆は男性ばかりだが… 山尾志桜里氏、街頭演説で分かった意外な人気のワケ
紆余曲折を経て国民民主党と袂を分かち、無所属で一人奮闘している山尾志桜里氏（50）。当人は「リベンジではない」とノーサイドの姿勢を表明しているが、街頭演説に足を運んでみると、一連の出来事がしっかり尾を引いており――。
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【写真24枚】汗だくになりながら吉祥寺駅前を激走する山尾志桜里氏。“男性ファン”たちとも快く交流
「政党同士の思惑とか、そういったしがらみから全く離れて、皆さんの暮らしのお困りごとの解決！ 直接答えを作っていく！」
参院選公示日の翌日、伊豆大島の町役場前で山尾氏はこう声を張り上げた。およそ10分にわたる熱弁の最後で“政党のしがらみ”に言及した理由は周知のとおり、公認を巡る国民民主党とのいざこざだろう。
「山尾氏の不倫疑惑に質問が集中し大炎上した記者会見の後、国民民主党は即座に彼女の公認を取り消しました。山尾氏は向こうから誘っておいてはしごを外した同党に怒り心頭で、執行部を批判するコメントと共に“今後は一線を画す”と離党届を提出、今月1日に無所属での出馬を表明しました」（政治部記者）
そうした経緯に加え、地盤のない東京選挙区での立候補とあり“玉砕覚悟”の出馬だとの見方が大勢を占めるという。にもかかわらず、大島を回った翌日の14時ごろ、池袋駅西口で街宣車の上に山尾氏が姿を現すと、聴衆はみるみるうちに100人ほどに膨れ上がった。
女性にダメージ
30度を超す炎暑の中まずマイクを握ったのは、応援弁士として駆け付けた『ゴーマニズム宣言』などで知られる漫画家の小林よしのり氏（71）だ。「うええい！」という歓声に迎えられた小林氏は「愛子様を天皇にしないことで政界が一致しているのは大問題」と山尾氏が押し出している女性天皇容認に賛同の意を示すと、さらに公認取り消しに言及し「そんな話があるか！」と国民民主党に怒ってみせた。演説を終えた小林氏に話を聞くと、
「ワシは『愛子天皇論』という本も出していて、同じ主張を堂々と述べている山尾さんが出るなら、応援せざるをえない。彼女ならやってくれるよ」
暑さにあえぎつつそう持ち上げるのだった。小林氏のエールに勇気を得たのか、山尾氏の演説も熱を帯びる。
「無所属になって正解でした。なぜなら政治家は政党の奴隷になったらおしまいだからです！」
そう冒頭で述べると、聴衆からも「そうだああ！」と喝采が起こる。その勢いのまま山尾氏は、
「国民民主党では女性天皇の議論をしましょうと言ったら公認を取り消された」
とこれまでの経緯について“自説”を披露。さらに、
「『女性が政治を目指すとロクなことがない』。そんなメッセージで終わらせたくない。このままでは世界でリーダーを目指す女性にダメージを与えます！」
「ふっきれましたから」
同性に向けて「再起できる」と強く訴えたのだが、あいにく熱心に聞き入る聴衆は男性ばかり。もし女性がいたとしても、山尾氏の過去の行状を振り返れば、この言い分には首をかしげるしかないだろう。街宣車から降り、猛烈な勢いで聴衆の間を駆け回る山尾氏に話しかけると、
「私は爽快な、執念というのとは違う、すごく爽快な戦いにしたいと思っています。ふっきれましたから。ありがとうございます」
話を聞いている側のもやもやにはお構いなし。そう言い残し、嵐のように去っていったのだった。
