巨人の「乙坂智」獲得にビックリ…痛い星を落とし続けてVは無理、2位死守のため“打てる選手優先”にせよ【柴田勲のコラム】

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荒巻、増田陸を外野で使え

 乙坂を使うよりも荒巻、増田陸を外野で使えと言いたい。捕手、二塁、三塁、遊撃は専門職だが、外野はそうではない。ちょっと練習をすればできるようになる。

 自分の打撃練習が終わったら中堅に行って、他の選手たちが飛ばす打球を処理する。ノックとは別物の生きた打球が飛んでくる。伸びたかなと思うと詰まる。詰まったかなと判断すると伸びてくる。動き方も変わる。

 本拠地はもちろんビジターでもやる。10分から20分でもいい。12~13球……結構打球が飛んでくるものだ。

 フライはそう難しくない。一つの手だ。投手陣が頑張っている。一方で得点能力が落ちて(※2)いる。いまは打てる選手優先だ。

育成選手のフルプはなぜ1軍で通用しないのか

 阿部慎之助監督は育成選手のマレク・フルプ外野手を支配下登録し12日のDeNA戦から使い始めた。チェコ出身で話題になっている。ファームでは2割6分5厘を打っているが、1軍ではなかなか通用しない。

 ファームの成績からすれば2割を打つのがやっとだろう。ファームで3割を打ってこそ、1軍では2割3~4分くらいは期待できるが、ファームと1軍では投手の球速、球威、変化球の切れがそこまで違うということだ。

 キャベッジはダボハゼになっている。どんな球にでも手を出す。ボール球を振ってストライクを見逃している。巨人の首脳陣はキャベッジにベルト周辺に来る球に目付けをさせて、いいボールは必ず来ると言い聞かせてほしい。

 阪神が首位を独走して貯金を独り占めしている。巨人が15日のヤクルト戦(静岡)に敗れて、阪神が勝つと、巨人の自力優勝の可能性が消滅するという。

 球宴を前になんとも残念な話だが、ここは現実をしっかり見据えて、いまの位置である2位を死守してもらいたい。

(成績などは14日現在)

 ※1:DeNAに11年ドラフト5位で入団し、1軍では14年から21年までの8年間で468試合に出場。安打数155、10本塁打、53打点、19盗塁、打率.229(すべて通算)。25年5月にシアトル・マリナーズとマイナー契約し、傘下で3Aのタコマ・レイニアーズで9試合に出場した。

 ※2:7月は14日時点、11試合で1試合平均1.9得点。3・4月は同3.4得点、5月は2.7得点、6月は2.4得点と徐々に減っている。チーム打率.242は広島と共に2位、1位はもちろん阪神の.250。総得点235はリーグ4位。

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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