驚異の「縦スラ」で4奪三振の「大谷翔平」と、マイナー行き不可避の「佐々木朗希」に米メディアは「残酷な明暗」を指摘 元プロ投手は大谷の「ストイックな姿勢」を称賛

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 あまりに残酷な明暗と言わざるを得ない。ドジャースの大谷翔平(31)と佐々木朗希(23)のことだ。大谷は7月12日、対ジャイアンツ戦に投打の二刀流で先発出場。最長となる3イニングを投げ、1安打無失点。4奪三振と完璧な内容だった。誕生日だった5日の登板もそうだったが、多くの野球ファンが感嘆したのが160キロ台の直球と、縦の落差が圧倒的なスライダーだった。(全2回の第1回)

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 5日の対アストロズ戦では試合途中でジョー・エスパーダ監督が放送局のインタビューに応じ、大谷の球速とスライダーを高く評価。「降板してくれてうれしい」と率直に語り、日米のスポーツメディアが大きく報じた。大谷にとっては最高の賛辞の一つだろう。

 一方の佐々木はアメリカメディアが「新人賞候補」と大きな期待を寄せたものの、8試合に先発して被本塁打6、与四死球25、防御率4・72、1勝1敗と低迷。5月13日に右肩インピンジメント症候群との診断が下り、まず15日間の故障者リスト入りとなった。

 当初は早期復帰も予想されていたが、キャッチボールすらできない状態が続いた。6月20日には60日間の故障者リスト入りとなり、30日にドジャースのデーブ・ロバーツ監督は日本のABEMAが放送する番組「おはようロバーツ」に出演。佐々木について「リハビリの必要があり、おそらくマイナーに行く」と言及した。

 一部のアメリカメディアは佐々木に「失望した」と報道。さらに大谷と佐々木の明暗に注目する記事も配信されるようになってきた。

 例えば「佐々木朗希の“ドジャース・ドリーム”は幻と消え、一方の大谷翔平はマウンドへの凱旋復帰を着々と準備中」(Roki Sasaki’s Dodgers dreams dim as Shohei Ohtani prepares for triumphant return to the mound:Motorcycle Sports・6月3日)という具合だ。

ストイックな大谷

 どうしてこれほどの差がついてしまったのか。野球解説者の前田幸長氏はロッテ、中日、巨人、そしてアメリカ・マイナーリーグの3Aオクラホマの4球団で投手として活躍。先発、中継ぎ、クローザーの全てを経験した。

 佐々木にとってはロッテの先輩投手であり、マイナーリーグの実情にも詳しい。まずは大谷の投球内容について前田氏は「トミー・ジョン手術を受けると、以前よりパワーアップする選手が少なくありません。大谷選手のケースは、まさしくそのお手本と言えるのではないでしょうか」と言う。

「大谷選手は2023年9月、2度目となるトミー・ジョン手術を受けました。しかし手術でパワーアップする選手は多いとはいえ、術後のリハビリは長期間に及び、それを着実にこなしていくのは決して簡単なことではありません。おまけに大谷選手は打者として試合に出ているのです。今、大谷選手はパワーアップを果たした投手としてマウンドに立っていますが、それが可能になったのは地道なリハビリを真面目に続けたからです。改めて大谷選手がどれほどストイックな姿勢で野球に向き合っているのか、再認識させられます」

 早く本格的な二刀流が見たい──日米のファンが期待しているのは当然のことだが、前田氏は「ドジャースは慎重なプランを立てているのではないでしょうか」と言う。

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