白鵬は「本当に気の毒」 元NHKアナが明かす複雑な心境 大横綱たちはなぜ、消えていくのか
藤井康生アナ、インタビュー第3回
元横綱・白鵬が今年6月、日本相撲協会を退職した。元NHKの藤井康生アナウンサー(68)は「本当に気の毒だなという気持ちでいっぱいです」と率直な思いを語る。相撲界に計り知れない貢献をした存在が土俵を去った現実に、複雑な心境があるという。(全5回の第3回)
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白鵬について、これはもう完全に個人的な意見ですが、本当に気の毒だなという気持ち
でいっぱいです。
もちろん、彼自身が起こしてしまった失敗や良くなかったことも確かにありました。どんな組織やグループであっても、上に立つ人間は責任を取らなければならない立場ですから、責められても仕方がない部分はあるでしょう。
しかし、あれだけ相撲界に貢献し、活躍した人物が、その舞台を去らなければならなかったというのは、やはり残念でなりません。
別の形で相撲に関わる道を選んだとしても、長年活躍してきた土俵から離れる選択に至ったことは、気の毒としか言いようがありません。彼からするとそれしかなかったのかもしれませんが……。
これは決して、日本相撲協会が悪いとか、裏方が悪いとか、執行部が悪いというような問題ではないと感じています。もっと日本全体として、大きく考えた時に、白鵬の存在と貢献をどう捉えるべきだったか、という話です。
横綱が一人という苦しい時代の大相撲を、彼がたった一人で支え抜いた。東日本大震災の際には、自ら率先して被災地を訪れ、土俵入りを披露しました。被災地の邪気を鎮めたいという強い思いを持っていたんです。
そのために、横綱の土俵入りとはどういうものなのか、その根本から歴史を学び、深く理解した上で行動に移した。自分の力で何となるわけじゃないけど、それでも行きたいんだ、という思いです。
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