白鵬は「本当に気の毒」 元NHKアナが明かす複雑な心境 大横綱たちはなぜ、消えていくのか

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なんとも理不尽

 そのような貢献をしてきた横綱が、親方になってほんの数年で、その世界から消えなければならないというのは、なんとも理不尽なことに思えてなりません。

 もっと全体がうまく収まるような形がなかったのか、と今でも考えてしまいます。日本相撲協会の執行部であれ、白鵬側であれ、あるいは各部屋の関係者であれ、皆が知恵を絞り合い、敵対視するのではなく、良い方向で話し合うことができたはずです。

 例えば、「一年間は頑張って、こうしましょう」といった具体的な意見も出せたと思うんです。しかし、そのような直接的な意見のやり取りがないまま、白鵬が行き場をなくしてしまうような状況になってしまったのは、非常に残念です。

 白鵬の肩を持つわけでも、日本相撲協会の肩をもつわけでもありません。第三者として見たときに、みんなが助かる方法があったんじゃないかと思いますね。

 近年、貴乃花や朝青龍といった大活躍した力士たちが、引退後に相撲界を去っていく姿を見るのは、やはり悲しいことでもあります。

 横綱という最高位に就いた彼らの義務は、引退後に、自身が学んできたものを後世に伝承していくことであるはずです。しかし、彼らは皆、自分自身に落ち度があったにせよ、その義務を十分に果たせないまま、相撲界を去らざるを得ない状況に追い込まれてしまった。

 誰がいいとか悪いとか、そういうことではありません。なぜ、一つの集団の中で、いがみ合うだけでなく、皆で「もっと良くしていこう」という考えをもう少し持てなかったのか。今一度、考える必要があると思います。

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 第1回【「さがり」を叩きつけ、感情がむき出しに…大相撲・名物実況アナが即答した忘れられない一戦】では、藤井アナが最も印象に残っている一番などを語っている。

藤井康生
1957年、岡山県倉敷市出身。79年にNHKに入局し、大相撲や競馬、オリンピックなどの中継を担当する。2022年から「ABEMA大相撲LIVE」で実況を担当。近著に『大相撲中継アナしか語れない 土俵の魅力と秘話』(東京ニュース通信社)。YouTubeチャンネル「藤井康生のうっちゃり大相撲」が人気。

デイリー新潮編集部

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