崖っぷち「二階元幹事長の息子」が訴える「中国から再びパンダを!」 【参院選和歌山選挙区】

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不倫報道の影響

 また、伸康氏の資質や陣営の体制について、不安の声も上がっている。

「伸康さんは全日空に13年間務め、その後はお父さんの秘書をやっていました。ただ、父に比べて線が細く、胆力にかける。秘書をやっていただけですから実績もない。要は、『父が二階俊博』ということ以外、取り立てた強みも、特徴もないんです。その父も裏金問題で傷が付いたまま引退し、既に86歳と高齢。世襲批判もあって、選挙戦で全面的に表に出るわけにもいかないんです」(同)

 父が築いた強固な後援組織があるはずだが、

「こちらもまとまりに欠けている。後援会は同じくお父さんの地元秘書を長らく務めてきた長兄の俊樹氏が率いています。一方で、伸康さんは自分の人脈で新しい選挙をやりたがっていた。そこに溝があり、衆院選では陣営がうまく機能しなかった。ここがきちんとしていれば、比例復活も出来ないほどの惨敗はありえませんでした」(同)

 何より、伸康候補の信用を大きく下落させたのは「不倫騒動」である。伸康氏には妻と幼い子どもが1人いるが、

「昨年末、『週刊ポスト』が銀座のバーのママとの不倫旅行を報じたんです。中でも地元後援者を怒らせたのが、伸康さんが衆院選の期間中、石破総理が和歌山に応援に訪れた演説会の場に、その不倫相手を密かに呼んでいたこと。伸康さんのために汗水流して選挙活動をしていた後援者にすれば、裏切られたという思いが湧くのは当然です。報道後、伸康さんは“妻とは別居していて、離婚が前提だった”と弁明していましたが、彼の評判はさらに落ちました」(同)

30年で1300億

 こうした事情で、今参院選でも苦境に立つ伸康候補。その彼が選挙戦でアピールしているのが「パンダ」である。

「公示に先立つ6月30日、和歌山で候補者が集まり、公開討論会が開かれました」(同)

 と言うのは、さる和歌山県政の関係者。

「会の最後で、候補者が最も主張したい政策を述べる場面があった。その際、伸康さんは“パンダについてです”と切り出し、与えられた2分間を丸々使って、“パンダがいなくなって不安を感じている県民もいる。その声に寄り添っていきたい”と熱弁。農業の振興や地域振興について述べていた候補者が多かっただけにビックリしました」(同)

 和歌山県白浜町にあるレジャー施設「アドベンチャーワールド」で飼育されていた4頭のパンダがこの6月、中国に返還されたのは周知の通り。予め定められた貸与期間が切れたためだが、急な決定であり、しかもパンダは同施設の目玉で、日本一の飼育数を誇っていただけに、大きな衝撃を与えた。

「二階さんはこれを呼び戻す、と。“パンダの経済効果は30年間で1300億円以上もあった。パンダによって地域経済を活性化させたい”と主張していました」(同)

 実際、二階氏のHPを見ると、政策の欄には、「パンダを再び和歌山に!」とあり、「パンダ返還に伴い、経済損失をはじめ地域に大きな不安が生じています。新たな観光資源を磨きつつ、パンダの繁殖研究が白浜で再開出来るよう、全力で取り組むことを誓います」と記している。

 さらには、公示当日、JR和歌山駅前で行われた出陣式に続く第一声の際も、伸康候補はやはり「(パンダがいなくなったことの)不安、心配を受け止め、即座に動きたい」と叫んでいる。

 もはや主要公約のひとつと言って良い“重要視”ぶりだ。

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