「養育費取り立てビジネス」のせいなのか 国税に狙われたZOZO前澤氏の4億円申告漏れ報道の背景

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資産管理会社の社債を使って

 ファッション通販サイト「ZOZO」の創業者、前澤友作氏(49)が100%の株を持つ資産管理会社が約4億円の申告漏れを国税当局から指摘されたことが9日、報じられた。国税が脱税事案として告発したわけではないのに秘匿度の高い税務調査の詳細が報じられるケースはあまり多くない。ではなぜ今回は違ったのか。また「申告漏れ」のカラクリはどういったものなのだろうか。

 今回の一件をスクープしたのは読売新聞(7月9日)だった。ここで指摘された、国税当局が問題視した点をまとめると以下のようになる。

・前澤氏の資産管理会社「グーニーズ」は2021年3月期に数億円の社債を発行

・この社債を前澤氏の税理士が設立に関わった都内のコンサルティング会社が全額購入

・グーニーズはこの社債の利子を経費として3年間で計約2億円計上

・グーニーズの社債購入後、コンサル会社は同額の社債を自社から発行

・そのコンサル会社の社債を前澤氏の知人が購入。その資金は前澤氏から低利子で借りていた

・コンサル会社はこの知人に対して社債の利子としてグーニーズから受領した利子の大半にあたる金額を充てていた

養育費は1人あたり

 ややこしくてわかりづらいが、前澤氏の資産が複雑な経路を辿っていることだけはよくわかるだろう。ものすごくショートカットしてしまえば、「グーニーズからの利子の多くがコンサル会社を経由して知人に渡って所得となっていた」(同記事より)ということになる。

 その結果、グーニーズから知人への利払いが国税当局からは「寄付(贈与)」とみなされた。その目的は最高で55%の贈与税負担を回避し、社債利払いでの分離課税(約15%の源泉徴収)で済ませようとするものだ、と指摘されたようだ。

 前澤氏側は読売新聞の取材に、この知人の素性を「(前澤氏に)養育義務のある子供たちの母親である女性」と説明したという。要は養育費を複雑なスキームを用いて渡していたというわけだろう。

 読売ではないメディアの社会部デスクはこう解説する。

「前澤氏にはお子さんが3人いるとかつて報じられたことがあります。コンサルに支払った利息が3年で約2億円ということなどを踏まえると1人当たり年1500~2000万円程度ではないかとの指摘もあります。養育費には条件と上限があり、このレベルの額だと贈与税を課される可能性が高いと前澤氏の顧問税理士が判断し、今回のやり方をアドバイスしたということなのでしょう。それはともかく今回の読売記事はスクープでした」

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