「養育費取り立てビジネス」のせいなのか 国税に狙われたZOZO前澤氏の4億円申告漏れ報道の背景
一つだけ言わせてください
“同業者”として脱帽せざるを得ないほどの独自ネタだったのは間違いない。
「国税当局は取材対象の中でとんでもないくらい口がかたく、まさに難攻不落。今回のように脱税事案の告発などではなく、プライバシー度の高い情報を積極的に広報することは絶対にありません。そんな国税に読売が食い込んだ成果なのは事実。“地道な取材”が徹底されているんだろうなぁとは見ていました」(同)
報じる側からすればスクープは勲章。が、報じられる側からすれば当然、喜ばしいことではない。前澤氏は本件についてXで謝罪しつつも、こんな異議申し立てもしている。
《一つだけ言わせてください。本来、納税に関する情報は極めて秘匿性の高い個人情報であり、メディアに漏れることがあってはなりません。今回、どのような経緯で読売新聞社が情報を得たのかは不明ですが、国税当局をはじめ関係者の皆様には改めて厳格な情報管理をお願いします。生意気言ってすみません》
リークの狙いは
確かにこのようなリークは危険性を伴う。今回のように違法とまで言えないこと、しかも個人の私生活に密接に関係している事情まで漏らされるのでは、当局が恣意的に個人や企業を陥れることも可能になってしまう。修正申告で終わっているはずじゃないか、と当事者なら思うことだろう。再びデスクに聞くと……。
「前澤氏が指摘するように、内実を知る税務当局関係者のリークをもとに記事は作られています。リークした当人は上司に許可を得たわけではないでしょう。ただ、どうもリークした側には何らかのモチベーションあってのことと思われます。前澤氏が単に著名人だからという理由だけではなさそうです」
どういった狙いなのか。
「実は読売がグーニーズ関連でスクープを出すのは初めてではない。グーニーズが3年間で約5億円の申告漏れを指摘されたことなどが2020年に報じられています。プライベートジェットの私的利用が経費として認められるか否かに関する件です」(同)
養育費取り立てサービス
「また、前澤氏は“養育費取り立てサービス”を展開する会社に出資していたころがありました。養育費は支払わない親が珍しくない。その“取りっぱぐれ”を回避するサービスを提供する代わりに手数料をもらうサービスです。
つまり、グーニーズは当局から常に注目されていた。そしてその会社のトップは養育費ビジネスの当事者だった。ここからわかるのは、養育費ビジネスにおいて、今回のようなやり方をするのはダメだ、というメッセージを国税当局の一部は発したかったということでしょう。読売は記事中で、一連の手法について“スキーム”という言葉を使っていましたが、英語の文脈だとこの言葉にはネガティヴな意味合いもあります。情報をリークした当事者の“悪しき前例にならないように”との願いをのせた記事のようにも私には映りました」(同)
いくつかの要因が重なって国税当局に狙われた格好の前澤氏のXには、事態を正確に把握していないがゆえに、まるで彼が脱税したかのようなコメントも目立つ。彼にとっては「有名税」で片づけられる問題ではなさそうだ。







