世論調査で「自民に次ぐ2位」に浮上した「参政党」…「高齢女性は子供が産めない」発言でも「女性票」が離れない根本的な理由

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女性に支持されている参政党

 こうしたネットの声だけを見ると、参政党はマッチョな有権者の支持を得ているように思える。ところがネットメディアの編集者は「自分が知る限り、参政党を支持する有権者は女性が目立つという特徴があり、それに注目しています」と言う。

「参政党をトンデモ政党と捉えている人たちは次のように考えているはずです。選択的夫婦別姓に反対していたり、外国人に対して厳しい態度を見せていたりするので、参政党はマッチョな体質であり、支持者も保守的な中高年男性が大半を占めるのだろう、と」

 だが実際は逆の可能性があるという。

「参政党は反農薬、オーガニック農法を進めるという政策も掲げており、これに関心を示す女性は相当な数に達しています。反ワクチンという主張も陰謀論と結びついているというよりは、『家族にコロナを感染させないために自分が打つのは構わない。でも、子供にワクチンは不安』という母親の素朴な声によって支持されているようなのです」(同・編集者)

 参政党の躍進は、「ポピュリズム=大衆迎合主義」に傾きつつある日本の政治状況が大きな影響を与えているようだ。

「日本の政治史を振り返ると、1994年から衆院選で小選挙区比例代表並立制が始まったことは“コペルニクス的転回”と言っていいのではないでしょうか。それまでの中選挙区制は業界団体の支援を受けた候補者が当選する傾向がありました。自民党なら農協や医師会といった業界団体、社会党なら労組、公明党は創価学会という具合です。昔から“衆愚”と言われても仕方のない有権者は存在しましたが、関係団体や地縁血縁の意向を受けて投票していたので異常な投票行動を取ることはなかったのです」(前出の記者)

自由を持て余した有権者

 関係団体を通して自分たちの素朴な要望を政党に伝えることも不可能ではなかった。だが小選挙区制は政党と有権者の“直結”が求められる。アメリカやイギリスなら一般の有権者が政党の党員でも珍しくないが、日本は違う。

「本来、小選挙区制は二大政党制でこそ機能します。そのため日本でも二大政党制が実現するのではないかと期待する関係者も少なくありませんでした。ところが小選挙区制による衆院選が当たり前のものになるにつれ、日本では無党派層が増えていったのです。政権交代が可能な二大政党が切磋琢磨するという政治は実現せず、少なからぬ有権者が『どの党に、どの候補者に投票していいのか分からない』と悲鳴を上げる時代になってしまったと言えます」(同・記者)

 ドイツの社会心理学者、エーリッヒ・フロムは1941年に『自由からの逃走』を出版した。ドイツ国民は“自由”が与えられると、それを持て余してしまい、ナチズムを支持したという心理プロセスを解明したことでフロムは高い評価を受けた。

「日本でも同じことが起きているのではないでしょうか。かつて日本の有権者は『近所の人に勧められた』とか『労組で指示された』などの理由で投票していました。つまり候補者を自分で選ぶ自由はなかったのです。ところが衆院選で小選挙区制が採用されると、各種団体の政治に対する影響力は大幅に減少しました。日本の有権者は候補者を選ぶ自由を手に入れましたが、それを持て余してしまっているように見えます」(同・記者)

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