渋谷センター街で横行する外国人の「コンビニ飲み」に地元の悲鳴 “酒没収パトロール”でトラブルも
パトロールする警備員はポリバケツを常備
「ただ、これでも数は減って来たんですよ。きっかけは去年の10月1日から、センター街をはじめ、渋谷駅の周辺で路上飲酒の禁止条例が施行されたことでした。以前はハロウィン期間だけだったものが、1年中禁止になりました」(鈴木理事長)
条例の正式名称は「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」。午後6時から翌朝5時の間、路上や公園など公共の場所における飲酒を通年で禁止するものだ。
この取り組みについて、渋谷区危機管理対策部、安全対策課の担当者に聞くと――。
「民間の警備会社に委託し、飲酒禁止の夜間に合わせ、平日で最大10人、金土日や祝前日は最大18人の体制で365日パトロールを行っています。条例施行前の調査で、路上飲酒は7割が外国人という結果が出ていたことを踏まえ、5人1組のパトロール班の中に、1人や2人は英語の喋れるスタッフを配置してもらうよう、警備会社にお願いしています」(担当者)
時間限定とはいえ、365日のパトロールともなると、かなりの予算がかかっていることは想像に難くない。条例に罰則規定はないというが、効果を上げているのだろうか。
「路上飲酒をしている人がいた場合、警備員が日本語や英語で条例について説明をしたうえで、任意ではありますがお酒の缶やその中身の回収作業も行っています」(同)
いつでも酒を回収できるように、警備員はポリバケツを常備し、パトロールにあたっているという。
「日本の方には少しずつ“あの辺りは飲酒禁止なんだ”と、認知が広がってきているのですが、どうしても海外から旅行に来た方では、渋谷区の条例を知らない人も多いので、まずは説明するしかありません。説明をすると外国の方でも9割ぐらいの方は条例を理解し、お酒の回収にも応じてくれます。ただ、中には“なんで没収されなきゃいけないんだ”という風に抵抗される方も一定数いると聞いています」(同)
やはり、トラブル事案は、毎週のように起きているという。
「外国人の路上飲酒で治安が悪化するのは絶対に許せない」
加えて、ゴミの問題もある。先の鈴木理事長が言う。
「365日、渋谷センター商店街振興組合の持ち出しで、早朝のゴミ清掃をやっています。以前からずっと続けていることではありますが、最近はやっぱり、朝方の状況がかなり大変なことになってしまっていますね。外国人からしたら、100円とか200円で飲んで騒げて、天国みたいな状況なんでしょう」(鈴木理事長)
パトロールの体制を強化しようと、渋谷区はNTT東日本と共同で、アルコールを手に持っている人物を特定する行動認識AIを用いた実証実験を行ったこともあるが、技術面や予算の関係で実現には至っていない。現状では、コーラやレッドブルなど、ノンアルコールの飲料との区別を、画像だけで判定するのが難しいようだ。
「我々は20年前から防犯パトロール隊を作って街の安全に取り組んできました。今より治安の悪かった頃は、若い人が店舗前にたむろして、ビールを飲んだりタバコを吸ったり、店舗や通行人に迷惑をかける行為が横行していた時期もありました。そうした問題が出るたび、行政と一緒に取り締まってきた歴史があります。せっかく良くなった街が、また外国人旅行者の路上飲酒で悪くなるのは絶対に許せないので、なんとかここで食い止められればと思っているんですけどね……」(鈴木理事長)
鈴木理事長は、「できれば罰則化まで進む前に食い止めたい」と話すが、その願いは通じるのだろうか。




