今年は“超高校級左腕”が登場! 普通の公立高から突然、ドラフト候補が出てくる「愛知県立高校」の凄み

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全く無名の存在が

 2000年以降に活躍した選手で筆頭と言えるのが、岩瀬仁紀(元・中日)だ。出身は愛知県立西尾東高校。2018年夏の東愛知大会では決勝に進出するなど、愛知の県立高校では、近年でトップクラスの実績を誇るが、いまだに甲子園出場は果たせていない。

 岩瀬も3年夏の愛知大会でノーヒット・ノーランを達成したとはいえ、当時は決してプロが注目するような投手ではなかった。むしろ評価が高かったのはバッティングの方で、進学した愛知大学ではリーグ記録にあと1本と迫る通算124安打を記録している。ようやく投手として花開いたのは、社会人野球のNTT東海(現在はNTT東日本とNTT西日本に統合)に進んだ後で、2年目に主戦投手へと成長した。

 1998年のドラフト2位(逆指名)で中日に入団すると、中継ぎ、抑えとして大活躍し、通算1002試合登板、407セーブという2つのNPB記録を樹立した。偉大な記録はもちろんだが、これだけ登板して通算防御率が2.31というところに安定感がよく表れている。

 岩瀬と同じく中日でリリーフとして大活躍した浅尾拓也(現・中日投手コーチ)も愛知の県立高校出身だ。プレーしていた愛知県立常滑北高校は、2008年に常滑高校と統合している。常滑市内に競艇場があることから、同校からはボートレーサーを多く輩出しているが、野球に関しては、これまで目立った実績はない。

 浅尾自身も高校入学当初は捕手で、途中から投手に転向したものの、全く無名の存在だった。進学した日本福祉大は当時、愛知大学野球の二部と三部を行き来するようなチームだったが、3年時には140キロ台後半をマークするなど急成長。4年秋にはチームを一部昇格に導くと、2006年の大学生・社会人ドラフト3巡目で地元の中日に入団している。

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