「決まり手に芸術点を」「体重で階級を分けては」 元横綱・白鵬の「相撲国際大会」構想で考える「SUMO」を世界的スポーツにする方法

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最終日は「無差別級」

 そして、客側を盛り上げるためにぜひ取り入れたいのがギャンブル制度である。これは客側の話であり、競技とは関係ないが、やはりスポーツが盛り上がるにはギャンブル性が必要だ。当然公営ギャンブルになるワケはないのだが、取り組みの勝敗を客が予想することで、ポイントがつく。予想が当たれば、次回の観戦の際に割引が適用されるようにする。
 
 これが競技における基礎となるが、運営については「地方別対決」とする。各選手は「部屋」ではなく、「地方」所属となる。「北海道・東北」「関東」「中部」「近畿」「中国・四国」「九州・沖縄」に加え「モンゴル」「東アジア」「東南アジア」「EU」「アフリカ」「ハワイを含めた北中南米」「その他」である。別に各階級に均等に力士がいる必要はない。あくまでも「私はそのグループに所属をしている」というだけでまずは開始する。

 海外選手にしても、モンゴルチームには「白鵬のいとこの妻の弟の彼女の兄貴」やら、アメリカチームには「小錦の同郷の町のバスケがうまい男の子」がいたりする。さらには、「甲子園3兄弟」のように、高校野球で甲子園大会に出場した経験を持つ3人を擁するチームがあってもいい。各チーム、人数は異なるだろうからチーム別の優勝というのはなく、あくまでも個人成績での階級別優勝にすべきである。

 開催期間については1月・4月・7月・10月とし、まずは7日ずつだけ開催する。最終日は「無差別級」でトーナメントを行う。四股名についても自由でいい。YouTuberが参戦するなら、「シバター」「ラファエル」でもいいし、元力士であれば、当時の四股名でもいい。元プロ野球選手だったら実名でもいいし、「田中山」などなんだっていい。最終日にはポイントをベースとした優勝者を決定。階級別に表彰を行う。大相撲で優勝力士は巨大な鯛を掲げるが、差別化するために、スポンサーからいただく何かを掲げる。ズワイガニだろうが佐賀牛だろうがなんだっていい。

 とにかくさまざまな競技のトップアスリートが腕試しをとばかりに世界中から参戦し、相撲を盛り上げてくれればかなり面白いのではなかろうか。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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