「決まり手に芸術点を」「体重で階級を分けては」 元横綱・白鵬の「相撲国際大会」構想で考える「SUMO」を世界的スポーツにする方法
無茶苦茶な提案ではあるものの
元横綱・白鵬が日本相撲協会を退職し「SUMOグランドスラム」構想を発表した。ワールドワイドで相撲の大会を行うことを目指すという。これまでも相撲の世界大会はあり、300kg超のエマニュエル・ヤーブロー等の人気相撲レスラーを輩出したものの、世界的に盛り上がるというものではなかった。あくまでも、「世界から力士が参加するアマチュア大会」的で、まわしも白くて地味だった。
【写真】「SUMO グランドスラム」を発表した白鵬の現役時代の姿
白鵬の考えは分からないものの、相撲は世界規模にしたらなかなか面白い競技になるのでは、とも思う。かつて作家・椎名誠氏はスポーツ専門雑誌「Number」の連載でボクシングと野球を面白くする方法を提案したことがある。『場外乱闘はこれからだ』(文藝春秋社)に収録されているのだが、ボクシングは「しゃべってもいい」で、野球は「殴ってもいい」のルールを作るだけで俄然面白くなると主張した。
ボクシングについてはいわゆる「マイクアピール」だが、試合前に選手がマイクで挑発合戦をするというもので、野球については、ランナーが2塁を陥れようかという時に守備がランナーを殴っていい、というものである。
やたらとマイクアピールが上手な選手と口下手な選手の対比もあるし、試合前のマイクアピール合戦は、その後の試合を盛り上げより面白くするために有用なのでは、という提案だ。野球についても、本来セーフになるものを殴ることによってアウトにでき、その後乱闘が発生して観客としては盛り上がる、ということだろう。無茶苦茶な提案ではあるものの、スポーツをエンタメと捉えた場合、椎名氏の提言は的を射ているのかもしれない。
野球では「乱闘要員」として元プロボクサーを雇う、などといったことも考えられる。かつて、プロ野球・ロッテオリオンズは東京五輪の100メートル日本代表である飯島秀雄氏をドラフト9位で獲得。盗塁のスペシャリストとして期待をした。飯島氏は3シーズンで打席に立つことはなかったが、実際、代走専門として23盗塁を記録した。
飯島氏は日本のプロ野球において、かなり稀有なワクワク感を与えた選手である。飯島氏自身は盗塁死も17記録しており、盗塁成功率は決して高くない。陸上の足の速さと投手との駆け引きが求められる盗塁では単純な足の速さだけでは超えられない壁があったのだろう。
このように、野球では1969年シーズンに斬新な取り組みがあったわけだが、果たして白鵬の相撲でどのような取り組みをすればいいか。無責任ながらとにかく「興行としての盛り上がり」だけを考えてみる。
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