ビジネスカップルではなかった 山里亮太が妻・蒼井優の前で見せた「紳士的」な対応

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妻へのリスペクト

 夫婦関係においても、山里は妻へのリスペクトを持っている。ラジオなどで彼女の話題を出すときにも、必ず自分を下げて、妻の方の優しさや賢さを印象づけるような話をしている。相手を下げるようなことを言わないのを徹底している。だからといって過剰に持ち上げるようなこともしない。

 今回の共演で山里が高評価を得ている最大の理由は、その場で妻を過剰に持ち上げたり、自身の立場を誇示したりすることがなく、どこまでも対等なパートナーとして接していた点にある。芸人としての実力は折り紙付きだが、蒼井優を前にして変に馴れ馴れしくすることもなく、自分が前に出すぎず、彼女が自然に輝くように振る舞っていた。その姿勢が多くの人々の心を打ったのだろう。共演の場面での彼の発言や表情には、妻への敬意と信頼、そして愛情がにじんでいた。

 今では視聴者の多くは「蒼井優が選んだ相手なら間違いない」という信頼を山里に重ねているようなところがあるのではないか。一流の演技人である蒼井が選んだ伴侶という事実が、彼の人間的価値を補強する形になっている。山里自身も、それに甘んじることなく、自分の言葉で愛と敬意を丁寧に伝え続けている。その姿勢が、視聴者に対して嘘のない人物像として届いている。山里と蒼井は今回の共演で芸能人同士の理想のカップル像を体現していた。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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