「先生、コメ食ってますか?」 死刑執行3日前の「白石隆浩」がこぼした“意外な言葉”とは? 元主任弁護人が告白【座間9人殺害】
「死刑を受け入れる気持ちはあった」
面会時間はわずか20分。その日もあっという間に時間は過ぎていった。
「“また来ますね”と言って別れたのですが、白石さんはいつもと全く変わらなかった。事件発覚後に主任弁護人となってから、裁判前の接見時も含めると、これまで何十回と会ってきました。彼は当初から自分のやったことを認め、“裁判を早く終わらせたい”と話していた。ただ被害者への謝罪の言葉などを述べたことがあったかどうか……、記憶が定かではありません。けれど一貫して死刑を受け入れる気持ちを持っていたことは確かだと思います」
裁判が遅延するため、精神鑑定も嫌がり、黙秘権の行使も拒否。大森氏ら弁護団が承諾殺人を主張して検察と争う方針を伝えると、一時、白石は面会に応じなくなったという。
まるで料理の話をするように犯行内容を説明
「判決確定直後に会った時も“(確定前より)むしろ落ち着いた気持ちでいます”と話していました。感情の揺れを見たことはなく、例えばご遺体の解体について尋ねた時でも“こういう手順で、こう解体した”と、まるで料理の話をするように淡々と答えていました。ただし一度だけ、面会が始まってすぐに彼が突っ伏し、突然打ち切られたことがありました。その原因も精神的なものでなく、単に体調を崩しただけのようでした」
白石は事件の動機について「金銭欲と性的な欲求」だと公判で述べ、大森氏にもそう語っていた。
「ただ、あれだけの異様な事件がその二つの理由だけで行われたとは正直、納得できない部分もありました。事件の全貌をきちんと解明するためにも控訴審をやるべきだと思っていましたが、最後まで説得できませんでした」
遺族にとっては、やるせなさが募るばかりだ。「首吊り士」と名乗った男が絞首刑に処せられても、被害者の無念が晴れることはない。




