五輪金「ウルフ・アロン」のプロレス転向は成功するか…柔道界のレジェンドが乗り越えられなかった「プロレスの壁」とは
STW(スペース・トルネード・ウルフ)?
そして何より、プロレスではファンを熱狂させる、一撃必殺の得意技も必須だ。
「レスリング出身のレスラーは、普段から準備運動としてこなしているブリッジが利くので、投げ技で種類も豊富なスープレックスを使う選手が多い。しかし、柔道の選手はそもそもブリッジを利かせた技を使う必要がなく、腰が硬い選手が多いのです。そこで坂口さんは2メートル近い長身を生かし、相手の背後を取って大きく持ち上げ、自分の立て膝に向けて相手の臀部を打ち付けるアトミック・ドロップ、小川さんは柔道時代の得意技・大外刈りに改良を加えたSTO(スペース・トルネード・オガワ)が得意技でした。ウルフさんも柔道時代は大外刈りは得意技の一つ。今の新日本ファンは小川さんを知るファンが少ないので、小川さんのSTOをオマージュしたSTW(スペース・トルネード・ウルフ)もありでは。帯取り返しという、スープレックスのように相手を投げる捨て身技も使っていたので、改良すれば得意技になりそうです」(同前)
テレビ番組への出演やYouTubeの動画でトーク力を鍛えていたウルフ。すでに、テレ朝は「報ステ」に出演させ、毎年「プロレス大賞」を制定する夕刊紙「東京スポーツ」は、記者とウルフがピクニックしてのインタビューを掲載するなど、全面バックアップの構え。プロモーションの体制は万全なだけに、どういう設定でウルフを売り出すのかが新日本の腕の見せ所となる。
こうした、ウルフのプロレス転向を後押しする声が多い中で、かみついたのが新日本の所属レスラーであるグレート-O-カーン(34)だった。O-カーンはウルフの会見を受け、自身のXで《柔道オリンピック金メダリストとして尊敬している。受け身が完璧に取れるようになってから坊主と黒パンでデビューせんならプロレスラーとして軽蔑する。どう転ぼうが勝手だし楽しみにしてる》とポストした。
ちなみに、「坊主と黒パン」とは新日本の「ヤングライオン」と呼ばれる若手レスラーのトレードマークだ。
「世間的にO-カーンの知名度はないが、学生時代からレスリングで数々の実績を残して新日本に入団したけに、“ガチンコ”と呼ばれる真剣勝負の実力は、新日本の中でも飛び抜けています。22年3月末、神奈川県内の駅構内で泥酔した男性に絡まれていた幼児を助けたことにより、同県警から感謝状を贈られたこともありました。セルフプロデュースでキャラクターを確立しようと模索しており、1人称は『余(よ)』です」(先のスポーツ紙記者)
同記者によると、O-カーンとウルフとの絡みは、故・橋本真也さんとの死闘を繰り返してファンの人気を獲得した小川さんの構図に似ているという。ウルフは新日本正規軍に組み込まれると思われるだけに、O-カーンは絶好のライバル候補だろう。
そして、最も気になるのはデビュー戦の相手。かつて、大相撲の元小結から転向した安田忠夫氏(61)のデビュー戦の相手は、コーチだった現石川県知事の馳浩氏(64)が務めファンの心を打った。
「ウルフの相手は、スカウトした永田が適任でしょう。プロレス界の酸いも甘いも知り尽くした永田ならば、ウルフの良さをマックスで引き出せるはず。何より、プロレスラーとしてやっていくための覚悟を埋め込むような試合にしてくれると思います」(同)



