「教育より外国人対策を」クルド人問題に近接する「さいたま市長選」で予兆が…「玉木」国民民主党の支持を奪う「参政党」躍進の秘密とは
「教育よりも外国人問題を何とかしてほしい」
6月14日と15日、都議選の1週間前に選挙ドットコムとJX通信社が都内で行った調査では、有権者に重視する政策争点を複数回答で聞きました。その結果、1番が物価高対策、2番が雇用・賃金、3番が医療・福祉・介護、4番目が政治とカネと続きましたが、7番目に「外国人・インバウンド対応」という項目が入ってきました。驚くことにこれが、17.1%もあったのです。ちなみに、教育・子育て(11.7%)よりも高い割合でした。つまり、都内の有権者の争点として「教育よりも外国人問題を何とかしてほしい」という声が多かったということです。
さらに、外国人・インバウンド対応を重視すると答えた人のなかで、参政党に投票すると答えた人が19%もいた。これは他党を圧倒していました。
つまり、最近のインバウンド増加や外国人労働者の増加に不満を持つ有権者が、選挙でその意思を明確にする段階に入っているわけです。そして、外国人問題に関心のある有権者の間で、参政党に最も支持が集まっている。参政党の掲げる「日本人ファースト」という主張が、まさにそういった有権者にダイレクトに響いているのでしょう。
5月のさいたま市長選で予兆が
実はこの傾向は都内だけでなく、5月のさいたま市長選でもみられました。市長選では、政治団体・日本保守党の候補者が3番手になりましたが、この候補者はあまり注目されていなかったにもかかわらず、下馬評よりも善戦しました。市内全域で1割を超える得票率でしたが、とくに川口市や蕨市に接する市南部の地域で得票率が高い傾向がありました。彼の公約は「外国人の生活保護廃止」といったもので、外国人問題が票になり始めていることがわかります。川口市や蕨市ではクルド人をめぐる問題が大きく注目されています。ヨーロッパでは移民排斥などを主張する極右政党が伸長していますが、日本でも似たような政治の潮流が生じつつあるのかもしれません。
参政党支持層の男女比については、支持率が急激に伸びており変化している可能性もありますが、、直近の調査では概ね男性の方が多くなっています。ただ、オーガニック食品や反ワクチン志向の有権者から支持を得てきた経緯もあり、女性の支持が根強いのではないかと指摘する向きもあります。 年齢層で言うと、50代以下の現役世代が多いです。
私は長年、世論調査や政党支持率の動きを見てきましたが、今の参政党の伸びは極めてレアケースで、なかなか見ることのない急激な伸び方になっています。報道各社の世論調査で、参政党の支持層には国民民主党の支持層や、同党に期待していた層の一部が流れていることが示唆されていますから、参政党が伸びれば、相対的に国民民主党の支持が落ちる可能性があるでしょう。れいわ新選組の支持層についても、類似の傾向が見られます。いずれにせよ、参政党の動向は参院選の最大の注目点となるでしょう。
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