「誰かに勝ちたい」ではなく「自分がこうありたい」 一度きりの人生だからこそ挑戦を続けた「藤村志保さん」の強さ

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「自分のために力を抜かなかった人」

 70年、映像制作会社を経営する6歳年上の静永純一さんと結婚。夫は語る。

「女房は人を感心させたいとか、誰かに勝ちたいではなく、こうありたい、と自分のために力を抜かなかった人だと思います。師、恩人は尽きません。勝新太郎さんから、芸事はまねから始まり続けていくものだ、と教えていただいたことも糧にしていました。凝り性で納得できるまで自分で調べ考えていました」

 役が決まると資料にあたり、実在の人物ならお墓やゆかりの地を訪ねた。演技と関係ないのに腎臓移植に関心を持つと医師や患者らを取材。読売「女性ヒューマン・ドキュメンタリー」大賞に応募、入賞している。

小池真理子さんとのひととき

 軽井沢の別荘で夏を過ごすのを楽しみにしていた。

 作家の小池真理子さん、藤田宜永さん夫妻は別荘によく招待されていた。小池さんは振り返る。

「お食事を頂きながらくつろいでお話をするサロンのような雰囲気でした。志保さんはもの静かで控えめでニコニコされている。所作が美しかった。真理子さん、着物が似合うでしょ、と私と藤田に新品の浴衣や帯を下さったことがあります。私たちが気にしないように自然に渡してくださった。今も大切にしています」

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