【霞が関インサイド】参院選にも「二階俊博」不在の影響あり? 国土強靱化の行方に悩む「国交省」の悩みのタネ

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 国が推し進める国土強靱化の牽引役だった二階俊博・元自民党幹事長が政界を引退したことで、国土交通省がその後継者探しに頭を悩ませている。「国土強靱化計画」は来年度より新たな「5カ年」が始動するため、同省にとっては予算上積みのチャンスともいえるわけだが、内外から聞こえてくるのは懸念の声ばかりで……。(桜井燈/ジャーナリスト)

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 自民党の建設関係議員や国土交通省が「ポスト二階」の思惑に揺れている。公共事業に多額の予算を計上してきた「国土強靱化計画」を巡り、これまで計画を率いてきた自民党の二階俊博元幹事長が昨年10月に政界を引退した後、後継者が見当たらないためだ。

 自民党の二階派(志帥会)は6月19日、総務省に政治団体の解散届を提出し、派閥を正式に解散した。同党では政治資金パーティーを巡る裏金問題の発覚を機に派閥を解散する動きが広がり、旧岸田派(宏池会)や旧茂木派(平成研究会)などに続く4番目の派閥解散となった。

 二階派は東京・永田町の砂防会館別館に事務所を置き、中央官庁の官僚や業界関係者らが盛んに出入りしていたが、裏金問題の責任を取る形で二階氏が政界を引退。後継者として期待された同氏の三男の伸康氏が、地元・和歌山の地盤を引き継いで昨年10月の衆院選に立候補したものの、参院から鞍替えした世耕弘成自民党前参院幹事長に敗退。派閥の事務総長として存在感を見せていた武田良太元総務相も落選し、さらに二階氏側近の林幹雄元幹事長代理が政界を引退したことで、同派は実質的に空中分解した。

国土強靱化推進本部の行方は

 国交省や建設業界が懸念しているのは、二階氏が率いてきた同党の国土強靱化推進本部の今後の舵取りである。

 二階氏は2011年3月の東日本大震災などを受け、党内で国土強靱化調査会を発足。激甚化する自然災害に対する防災・減災態勢の強化に向け、公共事業の着実な推進を掲げ、16年に推進本部に格上げされて本部長に就任。そして20年には初めて政府が「国土強靱化推進5カ年計画」(21~25年度)を策定し、道路や河川、橋梁などの公共工事を中心に約15兆円の予算が盛り込まれた。

 この計画が今年度末に終了するため、政府・自民党は来年度からの5年間の国土強靱化推進計画をまとめ、上下水道など老朽インフラの整備を打ち出した。現行以上の予算確保を目指しているが、この新たな計画の推進役となる政界のキーマンが見当たらないのだ――。

〈有料版の記事【霞が関インサイド 「二階俊博」「佐藤信秋」引退で揺れる国交省と建設業界 「国土強靱化」に立ち込める暗雲】では、二階氏や、自民党の国土強靱化推進本部長を務めている佐藤信秋参院議員の政界引退によって内外から聞こえてくる懸念の声、今夏の参院選に向けた“後継者探し”の難航ぶりなどについて詳述している。〉

デイリー新潮編集部

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