「もしもし、小泉進次郎です」突然の電話でビックリ…実は選挙戦術 効果のほどは? 専門家は「参院選でもかかってくるはず」

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費用は1件あたり50円?

 政治情報サイト「選挙ドットコム」顧問で、ネット選挙コンサルタントの高橋茂氏が解説する。

「いわゆるオートコールと呼ばれるもので、電話の自動音声を用いた投票呼びかけですね。2012年の第二次安倍政権の頃の自民党総裁選で、安倍首相が全国の党員に自動音声で投票を呼び掛けたところ、とても好評だったそうで、そこから広まったと言われています」

 元々はテレビや新聞などの報道各社が世論調査を実施する際に、ランダムな電話番号に自動音声を流しデータを収集するのに使われていた仕組みだという。オートコールを請け負う会社は複数ある、と高橋氏は言う。

「正式名称をRDD(Random Digit Dialing)と言います。たとえば世論調査などで、ランダムな電話番号を作成し、通話の繋がった番号に自動音声を流す。これを選挙戦に応用したというわけです。今回で言えば、都議選の対象地域の市外局番や市内局番からはじまるランダムな電話番号を作成し、通話の繋がった番号に自動音声を流したというわけです」(高橋氏)

 ランダムな電話番号だけでなく、名簿をデータベースに登録して一斉に架電することも可能だそう。今回も電話番号から選挙区を判定、あるいは事前に入手した名簿などを用いたのだと考えられる。

 気になるのは費用対効果だ。果たして、自動音声を聞いて実際に自民党や都民ファに投票しようと思う人がいるのだろうか。

「費用は会社によって違うと思いますが、通話が成立すると1件あたり50円ほどだと聞きました。仮に1万件にかけると50万円ですね。決して安くない金額ですが、スタッフを雇って一斉に電話をかける『ローラー作戦』をするよりかは安価です」(高橋氏)

 しかし、効果のほどは――? Aさんへの電話で推薦されていた2人の候補のうち、都ファの増子候補は当選したが、自民の中屋候補は落ちている。

「応援している候補と違う人の音声が流れると気分がよくない人がいるかも知れません。たとえば共産党支持者のところに小池さんの声や小泉さんの声で電話がかかってくる場合もある。でも、そういう人はもともと自民党や都民ファーストには投票しない人たちなので、投票結果に影響は出ないでしょう。むしろオートコールの最大の狙いは無党派層です。『誰に入れたらいいか分からないけれど、小池さんの声を聞くとなんだか少し親近感が湧いたね。じゃあ今回は都民ファーストに入れるか』というような効果を期待しているのだと思います」(同)

 ちなみに、選挙スタッフによる電話の投票呼びかけと同じく、公示後であれば公職選挙法に抵触することはないという。

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