「1日3錠×3日間」より「1日1錠×5日間」の方が高リスク… 薬物乱用頭痛を避ける方法

ドクター新潮 ライフ

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20分以上寝ると、夜の睡眠の「前借り」に

「実際、広島大学の林光緒教授が行った実験では、昼の12時過ぎに20分間の昼寝をすると、感じていた眠気が軽減すると同時に計算能力が回復することが明らかになっています。福岡県の県立明善高校で昼食後15分のパワーナップを導入したところ、大学入試センター試験(当時)の成績が1.15~1.2倍に上昇したとの報告もあります。こうした例を持ち出すまでもなく、『ちょっと昼寝をしたらシャキッとする』という現象は、多くの人が経験しているはずです。

 ここで大事になってくるのが、あくまで『ちょっと』であることです。具体的には、20分以内の昼寝に抑えることが重要です。それを超えてしまうと、長い昼寝になってしまうからです。

 長い昼寝とパワーナップの違いは、前者が夜の睡眠の「前借り」になってしまう点にあります。昼間に20分以上眠り続けると深い睡眠に入って起きるのが難しくなるだけでなく、結果、夜に眠れなくなってしまいます。また、仮に20分以上の昼寝から無理やり起きることができたとしても、脳がなかなか眠りから覚めず、パフォーマンスを回復させるにも時間がかかってしまい、作業効率を上げるという目的からすると、あまり効果的ではありません」

〈季節性アレルギー専用〉の表記があるか否か

 毎年、花粉の季節が必ずやって来る。その度に、目の痒みやくしゃみ、鼻水に苦しんでいる人の中には、「何か手軽で良い対策はないのか!」と叫びたくなる思いを抱えている人もいるに違いない。専門誌などにも寄稿している薬剤師の児島悠史氏は、全身にアレルギー症状が現れているようなケースを除けば、病院に行かずとも一般用医薬品で十分に対処は可能だと説く。そして、市販のステロイド点鼻薬を選ぶ基準について解説している。

「花粉症はアレルギー症状の一つですが、アレルギー性鼻炎用の点鼻薬は山ほど売られています。一方、季節性アレルギー、つまり花粉症に狙いを定めた点鼻薬は実は限られています。それをどう見極めるのか。単純ですがあまり知られていないのが、薬のパッケージに〈季節性アレルギー専用〉とうたわれているか否かというポイントです」

使い続けると鼻の粘膜が腫れてしまう場合も

「季節性アレルギー専用のステロイド点鼻薬は、スギ花粉が飛散する2月中旬から5月中旬までの約3カ月間、1日2回噴霧し続けても問題がなく、また使い続けることで効果を発揮する、文字通り季節性アレルギーに特化した薬です。

 これに対して、広くアレルギー性鼻炎に用いる点鼻薬には、花粉症治療には『余計な成分』が入っていたりします。例えば血管収縮剤です。鼻に噴霧してから10分もすれば鼻詰まりが軽くなり、2~3時間効果が持続します。瞬時に不快感が解消される即効性があるため、つい頼りがちですが、使い続けていると薬が原因で鼻の粘膜が腫(は)れ、鼻詰まりがかえって悪化してしまう『薬剤性鼻炎』を引き起こす危険性があります」

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