なぜ死刑執行は「3年ぶり」に再開されたのか 106人の死刑囚の中から「確定から4年」と日が浅い白石隆浩死刑囚が選ばれた理由
“批判を受けにくい死刑囚”が選ばれる傾向がある
では、なぜ106人も死刑囚がいる中で白石死刑囚が選ばれたのであろうか。白石死刑囚の死刑が確定したのは2021年でまだ4年と日は浅い。直近の加藤智大死刑囚もそうだが、彼らより先に確定した死刑囚が100人以上いるので明らかに順番としてはおかしい。
「一番古いのはマルヨ無線強盗殺人事件の尾田信夫死刑囚。1970年11月に確定しているので、50年以上も死刑が執行されていません」(同)
順番だけで言えば先に執行されるべき死刑囚が選ばれない理由は、
「再審請求をしていることが考慮されていると思われます。おそらく白石死刑囚は請求していなかったのでしょう。ただ現行の再審制度では、新証拠がないのに請求を繰り返して執行を逃れているケースが多発しているとされ、現在、法務省は再審請求の長期化を防ぐための再審法改正に向けて動いているところです。他に高齢者の死刑囚を避けたい理由としては、世間からの『ここまで頑張って生き抜いたのにかわいそうだ』といった批判を避けたい理由もあります」(同)
つまり「無難な死刑囚」を選ぶ傾向があるというのだ。
「もちろん間違いなく犯人であるという『犯人性』や『残虐性』も加味されています。ただ以前から『暴力団関係者が執行されやすい』と言われているのは、世間の批判が出にくいからなのです」(同)
そもそもどの順番で執行していくかといった基準が存在しないこともおかしいだろう。公平性に欠ける運用だ。死刑制度全般を見直す時期が来ているのかもしれない。
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