佐々木朗希「60日間の負傷者リスト」入りで“今季絶望”か…ロッテOB投手は「新人賞どころか1シーズン投げ切れるか不安だった」
メジャーリーグ(MLB)や日本プロ野球(NPB)には「規定投球回」という指標がある。投手の個人タイトルなら最優秀防御率は規定投球回に達した選手から選ばれる。算出法は試合数に1をかけるというもの。NPBは2015年から143試合制を導入したので、規定投球回数は「143かける1」で143イニングとなる。ただし2020年はコロナ禍で試合数が減ったため120イニングだった。(全3回の第1回)
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【写真】目元がソックリ? 佐々木朗希と同じく地元・大船渡高校で活躍した、弟の佐々木怜希選手。兄のメジャー挑戦と時を同じくして中央大学に進学
投手が規定投球回に達したということは、先発陣の一角としてローテーションを守り切ったことを意味する。先発投手の“勲章”と言っても過言ではないだろう。
ではここで、MLBで活躍する主な日本人投手がNPB在籍時に何回、規定投球回に達したのか振り返ってみよう。
オリオールズの菅野智之(35)は、NPBにおける1軍12シーズンのうち9シーズンで規定投球回を達成した。また2018年の202・0イニングはセ・リーグの年間最高記録だった。
メッツの千賀滉大(32)は、NPBにおける1軍11シーズンのうち6シーズンで達成。さらに2019年の180・1イニングはパ・リーグの年間最高記録だ。
ドジャースの山本由伸(26)は、NPBにおける1軍7シーズンのうち5シーズンで達成しており、2021年の193・2イニングと22年の193・0イニングはパ・リーグの年間最高記録である。
3人が名実共にNPBを代表するエース投手だったことがよく分かる。ならばドジャースの佐々木朗希(23)はどうだろうか。
佐々木はNPBの2軍を含む5シーズンで143イニングの規定投球回を超えたことは一度もない。個人最高はプロ入り3年目の2022年に記録した129・1イニングだった。担当記者が言う。
「最も失望させられた選手」
「ドジャースは5月13日、佐々木投手が負傷者リストに入ったと発表しました。当初は6月下旬の早期復帰説も流れていましたが、一時期はキャッチボールすらできない状態だったのです。前半戦までの復帰は絶望的と地元メディアも報じるようになり、デーブ・ロバーツ監督(53)は6月15日の会見で『今季は彼なしでやるくらいの覚悟もしておくべき』と発言。これを日米のスポーツメディアが佐々木投手は“今季構想外”になったと伝えました。そして5日後の20日、ドジャースは佐々木投手を60日間の負傷者リストに移行させると発表したのです」
開幕前、佐々木は新人賞の有力候補だと報じるメディアも少なくなかった。だが佐々木が負傷者リスト入りする直前から「今シーズン、最も失望させられた選手」と批判するアメリカメディアも増えてきた(註1)。一体、どうして佐々木はこれほど不調なのだろうか。
野球解説者の前田幸長氏はロッテ、中日、巨人の3球団で投手として活躍。先発、中継ぎ、クローザーの全てを経験した。また2008年には渡米してレンジャーズとマイナー契約。3Aオクラホマで36試合に登板したため、アメリカの野球事情にも詳しい。
昨年、佐々木は12球団で唯一の契約未更改選手となり、メジャー挑戦を訴え続けたことは記憶に新しい。野球ファンから「あまりにもワガママだ」と批判が続出していた当時、ロッテの先輩投手でもある前田氏は東スポの連載でこの問題に触れた(註2)。
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