「何もさせてもらえない」白鵬がガマンできなかった日本相撲協会のガチガチ体質とは

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再興のタイミングが示されず

 元横綱・白鵬が相撲協会を退職した。9日の会見も表向き円満な形で行われたが、実際は日本相撲協会に居場所がなくなった、失意の末の退職だったという見方が専らである。

 毀誉褒貶あったとはいえ、大横綱だったのは間違いない。その白鵬を結果的に追い込むことになった協会の体質などについて触れる。

 白鵬は2021年9月に現役を引退して宮城野部屋の師匠を務めていたが、弟子の暴行問題を受けて部屋が閉鎖された。24年4月から部屋付きの親方として伊勢ヶ濱部屋に移籍したが、それから1年が経過しても宮城野部屋の閉鎖解除が解かれない状況が続いた。

「白鵬は会見で退職の理由について“4月で部屋の閉鎖から丸1年が経ったが、再興がいつということが示されず、延びたことが今回の退職の理由としては大きい”と述べました。このまま協会にいても展望は描けないと判断したということでしょう」

 と、スポーツ紙デスク。

何もさせてもらえない

 暴行問題以前から、協会との関係は良好とは言いづらい面があったのは事実である。引退の際に、ルールやマナーを遵守するという誓約書に署名し、年寄襲名を承認されたという経緯もある。

「現役時代には、立ち会いからのかち上げや優勝の瞬間にガッツポーズする場面が品位の点で協会の諮問機関・横綱審議委員会から厳しく非難されたこともありました。当時は、世間的にヒールのような見られ方をされていました。

 観客に万歳三唱や三本締めを促したという振る舞いや、腕にガチガチに巻いたサポーターも問題視されましたね。ただ、本人はピュアで天然な性格。相撲のコンテンツとしての可能性を日々肌で感じていたのは事実です。会見で語った“相撲の発展”は本音でしょう」(同)

 たしかに白鵬は「相撲を世界に広げるプロジェクトを中心にやっていく」と会見で語っていたが……。

「協会でしかるべき肩書きを与えられたうえでそのようなプロジェクトを進める方が話は早いはずなのですが、白鵬自身“何もさせてもらえない”と漏らしていたようです。部屋の閉鎖問題はあるにせよ完全に干されていたと本人がとらえても仕方ない状況下だったのは事実でしょう」(同)

八角理事長の長期政権

 白鵬は2010年から少年相撲の国際大会「白鵬杯」をベースにすでに「相撲を世界に広げ」てきた実績がある。

「そういった動きも協会にとっては目障りだったのかもしれません。現役時代、45回の優勝を果たした白鵬がイベントに出かけていくだけで相撲や協会への注目度は良い意味で上がるはず。本人は客寄せパンダでも良いと思っていたフシもあったようですが、そういう役回りを担うこともできず、やる気を失っていきました」(同)

 協会を取り仕切るのは八角理事長(元横綱・北勝海)。2015年就任で、実質5期目の長期政権となっている。

「北の湖理事長の急死を受けて理事長代行に就任した際には、貴乃花親方がトップに就くまでの繋ぎと見られていました。が、“政治力”を発揮して自身は理事長職に就き、最終的に貴乃花親方の居場所を奪っていったとの説がしばしば語られていることです」(同)

 その「大横綱」貴乃花も協会を円満とは言えぬ形で去った。

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