外国人の「年金の抜け穴」見直しも…残る課題は“生活保護予備軍” 「毎年6000億円近い支出を強いられる計算に」

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「毎年6000億円近い支出を強いられる」

「今回の改正でまず一つ、再入国許可付きで出国する者には、許可の有効期間内は脱退一時金を支給しないことになりました。制度の乱用による出血減=公金の負担減が期待できるのは大きな進歩。ただ、課題も残っています」

 と、小坪議員は指摘する。

「今後はそれで乱用、悪用に歯止めはかけられても、すでに脱退一時金を裁定した72万件はどうなるのか。仮に全数が生活保護を受ける場合の推計費用を市議会で問うと、年間2兆円超になるとの回答がありました。3年前の数字では一時金を受給した出国者の4分の1が再入国許可を得ており、これに基づくと18万人が日本に戻っている計算になる。そのすべてが生活保護を受ければ毎年6000億円近い支出を強いられます」

「再入国後の生活保護受給を抑止できないのが現状」

 対処のしようはないのか。

「脱退一時金は厚労省の管轄、出入国は法務省の外局である出入国在留管理庁の所管です。縦割り行政の壁に阻まれ、すでに一時金を受領した外国人については、再入国後の生活保護受給を抑止できないのが現状。全国市長会からは“個々の自治体ごとの再入国者数が依然として分からない”との声が上がり、自治体が調査できる体制づくりを国に求める動きが出ています」

 自治体がせめて再入国者数を把握し、将来的な生活保護の支出に備えようにも、立ちはだかるのは縦割り行政。財政規律の悪化に慄く自治体の危機感は殊更深い。

「週刊新潮」の記事を契機に大きな進展があったものの、長らく放置されて広がってきた穴をふさぐのは容易ではない。

週刊新潮 2025年6月26日号掲載

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