「自民支持者の5割ほどしか自民候補に入れていない」 自民党が都議選でボロ負けした決定的な理由
「令和のコメ騒動」への対応で支持率を持ち直したかに見えた石破政権だが、ふたを開けてみれば自民党は歴史的大敗を喫した。その背景には、躍進を見せた少数政党の存在が……。
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【写真を見る】参院選のダークホースに? 自民支持者が流れた「少数政党」とは
支持基盤の“崩壊”
6月22日に行われた都議選で、自民党は過去最低の21議席にとどまり、都議会第1党の座を小池百合子知事を支える都民ファーストの会に明け渡した。
大手メディアにも“歴史的大敗”“惨敗”などと報じられたことを受けて、投開票日の翌日に石破茂首相(68)は「非常に厳しい審判をいただいた」と殊勝なコメントを口にしたのだった。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する。
「当初は小泉進次郎農水相による備蓄米放出効果で、石破政権に対する支持率が上がったとして、自民党内には都議選に対する楽観ムードもありました。ところが、都議選の投票前に石破首相は参院選の公約として2万円の現金給付を掲げました。世間からはバラマキとの批判が一気に噴出した。党内からも“何をやってくれたんだ”という声が上がる状況で、都議選に突入してしまった格好です」
さらに、9議席を得た国民民主党と、3議席の参政党の影響もあるという。政治部デスクが指摘する。
「山尾志桜里氏の公認取り消しなどで支持を落としたかに見えた国民ですが、手堅く議席を得ることができた。生活に根差した同党の公約が、安倍政権以降、自民を支持してきた都市部の20代、30代に刺さり、一定数の票が国民に流れたとみてよいでしょう。また自民の岩盤保守層が参政に票を入れたことで、自民の惨敗が決定的になったと思われます」
7月3日公示、20日投開票の参院選まで残された時間はわずか。支持基盤の崩壊で、自民はまさに背水の陣で臨むことになりそうだ。
「自民支持者の5割ちょっとしか自民候補に入れていない」
「昨年の衆議院選挙で自民党は大敗し、その原因が何一つ解決されないまま都議選を迎えました。今回の出口調査の結果を見ると、前回の衆院選と同様、自民支持者の5割ちょっとしか自民候補に入れていません」
と指摘するのは、元自民党事務局長で選挙・政治アドバイザーの久米晃氏である。
「つまり、自民支持者は党や今の政権に対して“何をやっているんだ”という失望感が強い。しかも、それは今に始まったことではありません。少子化、賃金、物価などの問題に全く結論が出てない。そういうものが積み重なった結果だと思います。これを解消しなければ、自民支持者の8割くらいが自民の候補者に入れるという状況をつくり出せず、参院選も都議選と同じような結果になるでしょう。小泉効果で自民党の支持率が若干上がったかもしれないけど、都議選に突入したら、それが全くの張りぼてであることが露呈してしまったわけですから」(同)
6月26日発売の「週刊新潮」では、来たる参院選に向けて自民党が取り得る対策を識者が解説する。