「国分・コンプラ違反」に日テレが「ゼロ回答」を貫いた本当の理由 会見に隠されていた“周到な仕掛け”とは
コンプライアンス違反が明らかになった「TOKIO」のメンバー、国分太一氏(50)を巡り、テレビ各局の大騒動が止まらない。雑誌や新聞、テレビ局の記者たちの間では、発表前日から「日テレの『ザ!鉄腕!DASH!!』を巡り国分さんにトラブルが起きているらしい」という情報が飛び交っていた。次いで日本テレビの福田博之社長自らが記者会見をすると発表したことで、「よほどヤバいことのようだ」「反社会的勢力との関係があったらしい」「中居問題のような女性関係らしい」との臆測が広がり、緊張感が高まっていった。しかし翌日の記者会見で福田社長は、「プライバシー保護のためお答えできません」との発言を連発。記者が怒声を浴びせるなど大荒れとなった。なぜ社長はこうした対応に終始したのか。そこには、「フジの二の舞だけは避けたい」という、周到な計算があった。
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周到な段取りをうかがわせる記者会見
フジテレビが初回の記者会見の失敗から火だるまとなったことは、日テレにとって明らかな教訓となっていた。フジは「中居問題」を受け、初めて開いた記者会見でフリーランスの記者の入場を認めず、会見映像や音声の配信も行わなかった。これに批判が殺到し、二度目の会見を開かざるを得なくなった。そこではすべての記者に参加を認めた結果、会見は10時間もの長さに。ガバナンス体制の欠如が明らかになった。
それだけに今回の日本テレビの記者会見ではフリーランスの記者も入ることが許され、テレビ映像も10分遅れではあるが同局が撮影したものがすべて配信されることになった。そのためネットでの動画配信も可能になった。こう書くと開かれた記者会見が行われたかに思えるが、実際には「仕掛け」がいくつもあったと筆者は感じた。
例えば、記者が通された場所は、ロビーの端にある狭いスペースだった。日テレ社長も関係者も含めて立ったままでの進行となり、長時間会見となることを予防していることがわかる。記者は1社2名とされたため参加人数も70名強と少なめに抑えられた。会見中に隠れて同時配信を行っていることを指摘されたジャーナリストが途中で制止される場面もあり、要注意なフリーランス記者は事前にマークされていたことが窺える。
また福田社長は記者の角度を変えた質問や挑発にも「本当に申し訳ありません」と丁重に答えつつも事案の詳細については「プライバシー保護のためお答えできません」と一貫して回答から逃げた。想定問答を手に持っていないことからリハーサルも行ったように見受けられる。白いワイシャツに地味なネクタイと、記者会見で適切とされる服装にコーディネートもされていた。結果的にフジテレビと比べて詳細な説明は避けつつ短時間のうちに会見を終えることが可能になった。
また、この入念な記者会見のあと、速やかに株式会社「TOKIO」のHPで国分氏のコメントが発表されたことは、事務所側とのすり合わせも入念に行われていたことを示唆している。
日テレに出入りする広告代理店関係者は「福田社長は営業畑が長く、あえて本人が矢面に立つことで番組ぐるみではないということを発信したかったのだと思います。国民的な人気番組、そして局の番組すべてを守るための戦術」と解説する。
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