「国分・コンプラ違反」に日テレが「ゼロ回答」を貫いた本当の理由 会見に隠されていた“周到な仕掛け”とは

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戦々恐々の他局幹部

 このように、様々な思惑で行われた「大人の事情」満載の記者会見だったが、異例ずくめの日テレの対応に、穏やかではないのは他局幹部たちだ。国分氏は人気タレントであるだけに、多くのレギュラー番組を抱えており、彼の関係する番組はひとまず放送休止対応とする例が相次いでいる。出演CMも放送見合わせが同様に発生しているという。が、いつまでも「休止」というわけにもいかず、視聴者への説明の必要の有無含めて今後の対応を早々に決めなければならない。

 ライバル局の編成関係者は、

「コンプライアンス違反の内容を様々なルートで確認すること。自局のレギュラー番組では類似の問題が無かったのか確認をすること」という指令が出ており、担当者は休日返上で走り回っているという。また別の局の制作関係者は「国分氏を特番のメイン司会者に予定していただけに、代打の司会者をどうするのか早急に決めないとならず、本当に時間が無い。しかも詳細がわからないだけにスポンサーへの説明も困り果てている」

 という。

 芸能界やテレビ界は昭和どころか平成以降もハラスメント満載な業界だと指摘されていた。ある局の制作プロデューサーは、

「この状況なので、どんな細かいこともすべて注意して、役員に報告しなければならない。昔気質のお笑い芸人などは息苦しいと感じることも多いだろうが、報告漏れが起きれば、即処分というほど厳しい状況だと感じている」

 と本音を漏らす。

田原俊彦もすぐに公表

 折しもTBSラジオは、日テレの会見と同日「生放送された番組で、ゲストの田原俊彦さんが、アナウンサーに不適切な行動や発言を繰り返した」と発表した。田原が性的な発言を行ったり、女性アナウンサーの手に触れたりしたためで、同局は本人に注意をしたという。かつてなら「トシちゃんも64歳、ますます元気だね」で済まされていたケースだが、今ではそんな対応が許されなくなった。ゲスト出演者の、わずか1回の発言も問題があれば速やかに公表することに、TBSも日本テレビ同様、フジテレビ問題以降の放送現場の「コンプライアンス重視」の姿勢を堅持していることが示されている。フジテレビ問題以降、軽い気持ちで派目を外した言動が、タレントにとっては一発で命取りになる、そんな時代が訪れているのである。

多角一丸(たかく・いちまる)
元テレビ局プロデューサー、ジャーナリスト

デイリー新潮編集部

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