「減税」議論はどこへやら…“コメ騒動”対応で「小泉農水相」の株が爆騰 「次の首相候補」と呼ばれる“ワンフレーズ”を考えてみる

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「次の首相」が打ち出すべきこと

 さて、そう考えると「それなりにルックスの良い政治家・閣僚が目立つことを言えば『次の首相候補』になれる」ということである。所詮日本の有権者などその程度のレベルで支持してくれる。というわけで、「次の首相に」と考えているであろう政治家が何をすればいいか、勝手に提案してみる。

 福岡資麿・厚生労働相:剣道着の似合う佐賀のイケメンだが、医療と労働という人生において重要な2つの要素に対する権限を持つだけにポテンシャルは感じられる。では何をすればいいか。まず、医療の分野においては国民にとって恐怖の「癌」であり、「癌検査1回無料券」の配布がアリだ。さらに「癌が見つかったら見舞金3万円」もセットにすると、支持率はさらに上がるだろう。

 そして、票田である高齢者を獲得するため、「70歳以上で働く人には、手取り金額400万円以下の人限定で1.5%を国からの報奨金として贈呈」をする。これは「生涯現役」や「シニア人材の活用」というきれいな大義名分もできることだろう。

 三原じゅん子・内閣府特命担当相:ここも実際に子どもを産み・育てる20~40代へ支援をするのではなく、高齢者向けの施策を行う。まず、「敬老の日」「母の日」「父の日」「子どもの日」に続く「孫の日」を制定する。そこで、「じいじ・ばあば手当」を作り、高齢者に一律1万円の商品券を配り、「孫の日」に小売店で使えるようにする。

 高市早苗氏:保守派からの票を確固たるものにすべく、電撃的に北朝鮮に乗り込み、金正恩氏と会談をし、拉致被害者を返すよう交渉をする――。これはさすがに難しいだろうから、戦後80年の節目として、太平洋戦争の激戦地を10か所巡り慰霊を行う。また、高市氏が認定する「愛国者」を表彰するイベントを行う。

 赤澤亮正経済再生相:たびたびアメリカを訪れ、トランプ大統領を含めアメリカのタフ・ネゴシエーターと関税をめぐる交渉を行った実績を引っ提げ、ある程度自動車へのディールで日本有利の状況を作れたら英雄になる。そうなった場合は「ミスター交渉」を名乗り、いかなる交渉事であろうともやり遂げると宣言し、「平和を巡る国同士の交渉も私にお任せを!」とぶち上げる。その第一歩として、「ウクライナの復興支援についてのディスカッション」と題してゼレンスキー大統領と会談をする。

 浅尾慶一郎環境相・内閣府特命担当相(原子力防災):電気代高騰のおり、そろそろ反原発活動も3.11以降の盛り上がりはない。原発再稼働に舵を切る。国民生活を守る、原発の安全については万全を期す方策を練り上げた、と綿密なプランを出し、「電気料金を10%下げる!」と宣言する。

 今回の小泉氏と自民党の躍進を見て、「この程度のことをやれば国民なんて勝手に支持するんだな」ということがよーく分かった。上記5人の自民党の議員もここまでやれば人気が出るだろう。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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