「今日も打てそうもない」と誰でも思う巨人はどうするべきか 2軍落ち戸郷は「外角低めだけ」に投げる練習をせよ【柴田勲のコラム】

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戸郷は「外角低めだけ」に投げる練習を

 こんなことを考える必要は全くない。とにかく内角低め、外角低めへの制球力を徹底的に磨くことだ。特に生命線は外角低めだ。

 ストライク先行で打者を追い込む。そして、ストライクからボール球になるフォークで仕留めるのが戸郷の持ち味だ。

 私なら3日間なら3日間、50球から60球くらいでいい。外角低めだけに投げさせる練習をさせる。大事なのは球威、球のスピードよりも制球力だ。これを徹底的にやって次の段階に進んでいく。こうでもしなきゃ、たとえ1軍に戻ってきてもまた同じことになる。

 杉内俊哉投手チーフコーチは「なんとか復調してほしい。(戸郷が)いないと優勝できない」と語っていたが、そりゃそうだろう。エースの復調なくして上位戦線に食い込んでいくのは困難だ。

 山崎伊織、赤星優志、フォスター・グリフィン、井上温大ら先発陣、さらに大勢ら中継ぎ陣もよくやっている。

 戸郷よ、早期の復活を願っている。

対戦相手すら「今日も打てそうもない」と思う

 打線に話を戻すが、いまの顔触れを見て、阿部慎之助監督が開幕前に描いていたバリバリの戦力は吉川尚輝だけではないか。

 増田陸、泉口友汰が頑張っているが、これは主砲・岡本和真のケガによる戦線離脱の副産物といえるだろう。

 丸佳浩が復帰したが、本調子ではない。坂本勇人に往年の力はない。泉口が3番、吉川が4番に座ることも多くなった。その吉川にしても本塁打を期待できない。泉口はなおさらだ。そこで若手や新人を起用していくことになる。

 先に私が“今日も打てそうもないな”と記したが、対戦相手もそう思っているだろう。

キャベッジは開幕当初のビデオを見るべし

 大きな誤算はトレイ・キャベッジだ。これは現在ファームで調整中のエリエ・ヘルナンデスにも共通することだが、甘い球を見逃して、ボール球を振って相手の投手を助けている。おまけに前さばきができないから、速球には詰まり、変化球には泳がされる。

 キャベッジには開幕当初の良い時のビデオを見せて、なぜ打てたのかを教える。当時は甘い球を見逃していなかった。

 目付けをおへその上に置いて振る。それより低いボールには手を出さない。これを徹底させるべきだ。いまのオーダーを見て本塁打を期待できる選手だからだ。

 明るい材料はない。でも、全員で力を合わせて戦っていくしかない。24日はZOZOマリンスタジアムでのロッテ戦、交流戦最後の試合に勝って、27日からのリーグ戦再開に勢いをつけてもらいたい。

(成績などは23日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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