「大学生ドラフト候補」150キロ超を連発する剛腕も…なぜか高校時代はエースじゃない投手が多い…スカウトが明かす、その理由は?

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高校野球と大学野球の大会システムの違い

 この春一気に、スカウト陣による評価を上げてきたのが、佛教大・赤木晴哉だ。長身でスピード、コントロールともに高いレベルにあり、1回戦の東農大北海道オホーツク戦では最速153キロを記録。5回を1失点にまとめて、全国大会での初勝利をあげている。彼らも高い順位でドラフト指名を受ける可能性が出ている。

 その他に名前を挙げた5人についても、大学4年間で着実に成長しており、ドラフト候補と呼ぶのに十分な実力を備えていることは間違いない。

 一方、2年生投手では、磯部祐吉(中京大・享栄出身)も高校時代は東松快征(オリックス2023年ドラフト3位)に次ぐ二番手に甘んじていた。サイドスローから150キロを超えるスピードをマークして、全国大会で通用する実力を示した。

 今大会は、2回戦の近畿大でリリーフで登板。1回1/3を投げて、2奪三振に抑えたほか、準々決勝の福井工業大戦は先発で起用され、7回1/3、1失点の好投を見せた。早くも再来年のドラフト有力候補に浮上しつつある。

 こうして見ていくと、高校時代に悔しい思いをした投手たちが、大学進学後に眠っていた才能を開花させているのか、よく分かるだろう。

 では、その理由はどこにあるのだろうか。まず大きいのが、高校野球と大学野球の大会システムの違いである。

 高校野球の場合は基本的に負けたら終わりのトーナメントで行われており、そうなると、ボールの力はあっても安定感に乏しい投手よりも、多少スピードはなくてもよりまとまりがあり、試合を壊さない投手が重宝される。

 このようなタイプの投手は、もちろん、大学入学後に球速がアップして、ドラフト候補となるケースはある。東北福祉大で胴上げ投手になった桜井頼之介(4年・聖カタリナ出身)や青山学院大のエース、中西聖輝(4年・智弁和歌山出身)といった今大会で見事な投球を披露した投手だ。

 大学野球はリーグ戦で行われており、多くの投手が必要となる。時には、プロ野球でいえば「敗戦処理」のような起用法もある。そういう役割から、重要な試合を任せられるポジションをつかみやすい。

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