「男子校人脈で食いつなぐ弁護士」も 時代の流れに抗う「男子校」の“真のメリット”と驚くべきビジネスネットワークとは

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海城OBが立ち上げたベンチャー企業

 男子校の結束力は、ビジネスの面でも大いに役立っているというから驚きだ。

「弁護士は、一般的に独立してすぐ食べていくのが難しい。一方で、医師や大手企業の社員、あるいは有名企業幹部の息子など、豊富な中高時代の人脈で大口の新規顧客を得て、経営を軌道にのせている人がいます」

 と語るのは、男女別学で知られる学習院中高出身で、教育系の最大手企業に勤める40代社員だ。

「最近では、うちを辞めた人たちが立ち上げたあるベンチャーがメディアで注目されているのですが、なんと創業者の経歴を見たら全員が同じ海城中高出身者だったんです。話を聞くと、出資者までが同じ海城出身でさらにびっくり。改めて男子校出身者は、結束力が違うと感じました」

 経済界において、「開成閥」、「麻布閥」、「灘閥」など男子難関校の学閥の結束力の強さは、早慶、旧七帝大、一橋、神戸など有力大学の学閥以上だとされている。さらに中高6年間といわずとも、名門公立男子校の「浦和高校閥」、「前橋高校閥」、「宇都宮高校閥」なども、大学以上の結束力だといわれる。男子校の真の強さとは、ここにあるのかもしれない。

〈後編の記事【女子と接点がなくても「問題ナシ」 「コミュ障」にこそぴったり 「中高6年男子校」への懸念を徹底検証】では、女子との接点や「スクールカースト」など、多くの保護者が抱える男子校への懸念のほか、男子校が抱えるデメリットなどについて、詳述している〉

西田 浩史(にしだ ひろふみ)
追手門学院大学客員教授、ルートマップマガジン社 取締役・編集長、教育ジャーナリスト。2016年ダイヤモンド社『週刊ダイヤモンド』記者、塾業界誌記者を経て、19年追手門学院大学アサーティブ研究センター客員研究員、20年から現職。全国5000にも及ぶ塾の関係者(計20,000人)を取材。著書に『中高一貫校vs地方名門 最強の高校』『大学序列』(週刊ダイヤモンド特集BOOKS ダイヤモンド社)など。

デイリー新潮編集部

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