もし“廃部”なら日本柔道界に大打撃 「国士舘大学」柔道部員の大麻事件が左右する勢力図

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柔道勢力図が塗り替えられる?

 もともと、大学柔道界では、国士舘のほか、「全日本学生柔道優勝大会」で優勝経験がある東海大、天理大、明治大、筑波大など強豪校が多い。

 国士舘は付属中学、高校ともに長年、全国トップレベルの強豪で何度も優勝経験があるが、もともと、東京大会で国士舘と覇権を争っていたのが、いずれも国士舘と同じ東京都世田谷区に校舎を構える弦巻中学と世田谷学園高校だった。

「弦巻中と世田谷学園には、日本柔道界の発展を目指し、作家の井上靖氏らが1975年の創立に参加した全寮制の柔道私塾『講堂学舎』の塾生たちが通っていました。塾生たちは寮で衣・食・住を共にし、寮弦巻中と世田谷学園に通っていました、同塾は柔道のエリート養成機関という位置付けでしたから、続々と日本柔道界のトップになる選手が育ったのです」(元専門誌記者)

「講堂学舎」の主なOBは、バルセロナで金、アトランタで銀を獲得した故・古賀稔彦さん。バルセロナで金の吉田秀彦氏(55)、シドニーで金の瀧本誠氏(50)。リオ、東京で連覇の大野将平氏(33)ら、そうそうたる顔ぶれだ。

 しかし、同私塾は資金難で15年に閉塾。そのため、弦巻中、世田谷学園へのルートがなくなり、東京は国士舘中・高が王者に君臨することになった。そのピラミッドの頂点に君臨する国士舘大柔道部だが、今や未曾有の危機を迎えているのだ。

「今後、国士舘大の柔道部が処分を受けている間、国士舘高の生徒も他大学に流れ始め、同大学柔道部の衰退が見込まれます。もし、万が一、廃部となるようなら、『講堂学舎』の閉塾同様、日本柔道界にとっての“損害”になりそうですが、薬物に手を染めた部員たち、それを把握できなかった部の監督以下にも責任があるでしょう」(同前)

デイリー新潮編集部

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