二刀流復帰「大谷翔平の28球」から見えたこと 160キロ計測も“伝家の宝刀”がわずか1球だった理由

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 663日ぶりに二刀流が戻ってきた。現地16日(日本時間17日)、ドジャースの大谷翔平は、パドレス戦に1番投手兼指名打者で先発出場。1回を投げ1点を失ったが、100.2マイル(約161.3キロ)の速球を計測するなど、故障前と変わらぬパワフルな投球を披露した。

 打っては、3回裏に自身の黒星を消すタイムリー二塁打など4打数2安打2打点の大活躍。地区首位を走るチームの勝利に大きく貢献した。

【八木遊/スポーツライター】

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復帰戦は1回1失点28球でお役御免

 前日の15日に急転直下で決まった大谷の復帰登板。オープナーとして、多くても2イニングの予定でマウンドに上がった。

 久々のマウンドにさすがの大谷もアドレナリンが出過ぎたか、1~2番に連打を浴びて、いきなり無死一、三塁の大ピンチを迎えた。しかし、続く3番マチャドに犠牲フライを許すも、4~5番の中軸を打ち取って、この日の投手・大谷はお役御免となった。

 明らかなボール球も多く、制球にはやや課題を残したものの、最少失点で切り抜けたのはさすがの一言だろう。何より二刀流が打撃にも好影響を与えているようにも映った。

 では、改めて大谷が復帰戦で投じた全28球を、データを交えながら振り返っておこう。参照したのは、MLB公式データサイトの「ベースボール・サバント」だ。

 まず大谷の球種割合を見ると、最も多かったのがスイーパー(=スライダー)で10球(35.7%)、次いでフォーシーム9球(32.1%)、シンカー8球(28.6%)、そしてスプリット1球(3.6%)と続いた。

 気になるフォーシームの最速は、冒頭で触れた通り、100.2マイル(約161.3キロ)。フォーシーム10球の平均が99.1マイル(約159.5キロ)で、出力には何の問題もなかったことが分かる。

 また、試合後に本人も語っていたように、この日の大谷は打者の手元で微妙に動くシンカーも活用していた。一方で、気になったのがスプリットを1球しか投じなかったことだ。

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