BTS「8年間チャートイン」曲の歌詞は300人の犠牲者に捧げられたものか

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巨大文字のメッセージ

 今月9日、韓国の人気グループ、BTSのソウルの所属事務所ビルに「WE ARE BACK(僕たちは戻ってきた)」の巨大文字が掲出された。今月末までにメンバー全員が兵役を終える。これにより、2年半の間グループ活動を中止していた彼らが、活動再開をするというメッセージだろう。

 世界的人気を誇るグループとなったBTSだが、本国での人気は別次元といえるかもしれない。

 韓国内で今後決して破られない、といわれているBTSの記録がある。

 2017年に発表した〈Spring Day〉のチャートランクイン記録だ。別れた大切な人との再会を願う気持ちを歌ったこのバラードは発売以来、韓国の音楽チャート「メロン」の日刊“トップ100”に7年8カ月以上ランクインし続けた。これは同チャートの史上最長記録で、2024年8月には同チャート史上初となる10億回再生も記録したという。

 いわば韓国で最も愛される曲の一つと言っていいだろう。
 
 発表された当時、この曲は韓国近代史に残る「セウォル号沈没事故」の鎮魂歌ではないかと注目された。修学旅行中の高校生を含む約300人の命が失われた未曽有の沈没事故だ。

「会いたい」という歌い出しや、ミュージックビデオに映る山積みになった服などから、沈没事故の犠牲者に捧げた歌だと受け止める人が韓国には多くいた。

 もっとも、BTS自身はこの曲に込めた具体的な意味について説明したことはなく、「聴く皆さんの解釈にお任せしたい」と記者会見で語っていた。

「個人的な経験談も込められています」

 このスタンスは一貫しているようだ。BTSの10曲のオリジナル歌詞と公式日本語訳を掲載した『BTSレジェンド10曲の歌詞で学ぶ韓国語』(Cake×SHINCHOSHA Re-editing Project、9月発売)には、この曲についてのメンバーのコメントが掲載されている。同書から引用してみよう。

SUGA
「僕とRMさんが特に、この曲の作詞・作曲に積極的に参加しました。歌詞には僕とRMさんの個人的な経験談も込められています」

JIN
「〈Spring Day〉は僕たちの温もりが感じられる曲です。ステージでは僕がエンディングを担っているので、より意味深い曲でもあります。この曲を聴いて、みなさんは誰かの傍にいる人だということ、みなさんがいてくれるから誰かは癒し幸せを感じるということを分かっていただければと思います」

 やはり解釈は聴き手に任せるということだろう。

 BTSはセウォル号沈没事故の遺族団体に1億ウォンの寄付をしている。

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