藤川阪神“最速30勝”と“2ケタ貯金”で交流戦突入は「2023年と完全一致」 覚醒したサトテルの“40年ぶり快挙”にも期待

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佐藤の変貌

 その佐藤がキャリアハイの打撃成績を残そうとしている。本塁打18本は両リーグトップで、打点46、長打率6割1分8厘はリーグトップ(6月12日時点)。これに盗塁がリーグトップの1番・近本光司、打点が同2位の森下翔太(24)もいるのだから、今年の阪神打線が好調なのも頷ける。しかし、佐藤の本塁打王争いには、リーグ優勝にも匹敵する大きな意義があった。

 セ・リーグの本塁打タイトルホルダーを年度別に調べてみた。24年は東京ヤクルトの村上宗隆(25)。23年は巨人・岡本和真(28)。22年はヤクルト・村上(この年、三冠王)。21年は村上と岡本で、20年は岡本。19年と18年は横浜DeNA・ソト(36)、17年、中日・ゲレーロ(38)……。

 実は阪神は、86年のランディ・バース氏以降、本塁打のタイトルホルダーが出ていない。今季、佐藤が獲得すれば“40年ぶりの快挙”となるのである。

 バース氏以降でも、トラの主砲といえば金本知憲氏(57)、新井貴浩・現広島監督(48)、関本賢太郎氏(46)、マウロ・ゴメス氏(40)、福留孝介氏(48)など、チームを牽引してきたスラッガーの名前も思い出されるが、本塁打のタイトルとは縁がなかった。両翼95メートル、中堅118メートルと広大な甲子園球場を本拠地とする“ハンディキャップ”もあったかもしれない。そのことを考えると、佐藤のパワーは魅力的であり、今年の阪神には、ひと振りで球場の雰囲気も変えてしまう力も秘めているわけだ。

 もっとも、三振の多さは相変わらず。すでにリーグワーストの67をカウントしており、ルーキーイヤーから続く「シーズン130以上の三振数」は5年連続に更新されそうだ。

「昨秋から佐藤が新任の小谷野栄一打撃コーチ(44)と取り組んできたのは『投球を見送る練習』でした。スタンドに放り込めると思ったらバットを振ってもいい、そうでないボールは見送れ、と。小谷野コーチが打撃投手役も務め、捕手の代わりにストライクゾーンを縁取ったマットに投げ込んでいました。佐藤はあまり考えずに、来たボールを全て打ちに行くタイプです。ストライクとボールを見極めるのと、ひと振りで仕留めるための練習でした」(チーム関係者)

 佐藤は見送ったボールがストライクゾーンの枠から跳ね返っていくのを見て何かを察したのか、少し考えていたという。また、自身がスタンドに放り込めると思ってバットを振ってもスタンドまで届かなかったゾーンも認識したそうだ。近年の佐藤はオフを迎える度に打撃フォームをマイナーチェンジさせてきた。変わることも大切だが、仕留められるボールだけを打つ“見送る練習”は初めての経験であり、成長につながったようだ。

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