フジ、後手を踏んだ自局アナのオンラインカジノ 止まらない不祥事…これで本当にコンプラは改善されるのか

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フジは中居氏の反論をどう思う?

 この構図が分かりにくいと思っている人も多いのではないか。第3者委はフジの依頼によって設置された。調査費用もフジが出した。一方で、第3者委を批判する人たちも橋下氏らフジと関係する人たちが中心なのである。

 第3者委にこの調査を行わせたフジは、中居氏側による反論をどう思っているのか。その本音が不明だから、疑心暗鬼を生んでいる。フジが中居氏の反論と一切無関係であるなら、そう表明したほうがいいのではないか。

 フジが腹の内を明らかにしないから、勘繰る見方が社内外にある。「中居氏の反論にはフジ内部の人間が関わっているのではないか」「フジは本心では反省なんてしていないのでないか」といったものである。

 憶測が生まれている一因はフジが約束を守っていないから。港浩一前社長は今年1月27日の会見で「(元女性アナに)お会いして謝罪したい」と口にした。

 しかし、謝罪はいまだ確認されていない。これではフジが本音では非があると考えていないと思われても仕方がないのではないか。謝罪が実現していない理由が港氏の社長退任にあるのなら、後任の清水賢治社長(64)が行ってもいいはずだ。

 フジは会社法に基づき、港氏と大多亮元専務(66)の法的責任を追及することを5日発表した。これにも社内から反発する声が上がっている。

 中居氏と元女性アナのトラブルが起きたあと、対応策を練ったのは港氏と大多氏の2人だが、コンプライアンスを二の次とするような体制にしたのはフジを30年以上も牛耳ってきた日枝氏ら古参経営陣にほかならない。

 FMHに対する株主代表訴訟も始まっている。個人株主が旧経営陣15人に233億円の賠償を求めている。フジが港氏らを相手にした訴訟と争点はほぼ同じになる見通し。どうしてフジは2人だけを訴えるのか。

「まず誰かを訴えないと、また新たな訴訟が起こる可能性がある。また、港氏らを斬り捨てる形を取ることで、フジが新しくなったことをアピールしたい」(前出のフジ幹部)

 これらの戦略を最終決定しているのは清水氏である。一方で清水氏はFMHの有力子会社のトップを近しい人材で固めている。

 BSフジの社長は「踊る大捜査線」(1997年)をつくった亀山千広社長(68)が退任し、小川晋一氏(66)に交代する。清水氏と小川氏は1983年入社の同期。編成部畑であるところも一緒である。

 FMHの最大手制作会社・共同テレビの社長には「古畑任三郎」(1994年)を手掛けた石原隆氏(64)が就く。清水氏の1期後輩の1984年入社ながら、編成部畑であるところは同じだ。

 フジ社内には「有力会社のトップが、清水氏と入社年次が近い人物と編成部出身者に偏り過ぎではないか」という不満が出ている。また編成部を出世コースにしたのは日枝氏であり、それが続いてしまうことを危惧する声もある。懸念材料は絶えない。

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