インドネシア戦で“格の違い”を見せつけた森保ジャパン 一方で浮き彫りになった“守備の要”ポジションのタレント不足

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問題はCBの人材不足

 そして日本である。相手のオープンな試合展開と、日本も1・5軍のようなメンバーのため、森下龍矢の代表初ゴールを始め、町野修斗、細谷真大らが久々の得点を決めれば、初招集の三戸舜介と俵積田晃太が初アシストをマークした。とはいえ、相手との力量差を考えれば特筆すべき活躍ではないだろう。

 なぜなら日本のサイドアタッカー陣は人材が豊富だからだ。森保一監督は選手層の拡充を強化の目的の第一に掲げているが、やはり伊東純也、堂安律、南野拓実、三笘薫らはもちろんのこと、前線の上田綺世、小川航基、ボランチの守田英正、田中碧、旗手怜央らの牙城を脅かす選手はそう簡単に現われるものではない。

 森保監督自身もそれは実感したようで、「経験の浅い選手、再招集や初招集の選手の印象は、こんなにもできるんだ、素晴らしい特徴を持っているんだなと感じた」と賞賛しつつ、「まだまだ、この代表で活動を続けるには力が足りないとも感じた。この状況を作ってくれた(最終予選を突破した)選手とはまだまだ差がある」と正直な感想を述べていた。

 人材の豊富なオフェンス陣のタレントの発掘は今後も続くだろう。しかし今年の3月と6月の活動で新たに明らかになったのはCBの人材不足である。冨安健洋と谷口彰悟はケガにより長期離脱で、今年に入り復帰したと思った伊藤洋輝もリタイア。そして6月のシリーズでは渡辺剛と町田浩樹も戦線離脱した。CB陣の発掘は急務になっている。

鈴木淳之介の貢献

 そんな状況でインドネシア戦にスタメンで代表デビューを飾った鈴木淳之介は90分間、終始安定したセイフティーなプレーで日本の好守に貢献した。

 足の速さにも自信があるのか、インドネシアのカウンターにも慌てることなくタッチに逃げるなど冷静に対処していた。

 彼と高井幸大、関根大輝らは今後も代表でじっくりと育てて欲しい逸材である(あと市原吏音も)。果たして7月に韓国・龍仁で開催されるE-1選手権にどのような選手が招集されるのか。こちらの発表も楽しみでならない。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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