もう滅茶苦茶…「海外作品に100%の関税」のトランプ発言にハリウッド大混乱 3人の有名俳優を突然“特別大使”に任命も

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 5月4日、アメリカのトランプ大統領が突如、「外国で製作された映画に対して100%の関税を課す」との方針を明らかにした。しかし、それから約1か月経ってなお、その詳細は明らかにされていない。この関税案の目的は、国外での税金優遇制度による映画ロケ誘致への対抗にあるとされるが、実は熱心な「トランプ支持俳優」の提言がきっかけだという。ただ、そこは民主党お膝元のカリフォルニア州。事情は複雑で――。L.A.在住の映画ジャーナリスト・猿渡由紀氏のレポートをお届けする。

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「ハリウッドの特別アンバサダー」に任命された「トランプ派俳優」たち

「海外で撮影された映画に100%の関税をかける」とトランプが宣言して、1ヶ月が経った。

 何の前触れもなく飛び出したその爆弾発言に、当時、ハリウッド関係者は驚愕し、パニックに陥った。5月に開催されたカンヌ映画祭でも、ウェス・アンダーソン監督や、ロバート・デ・ニーロなど業界の大物が、疑問や批判の声を上げている。

 トランプがソーシャルメディアでその宣言をした直後、ホワイトハウスは「詳細はこれから詰める」とフォロー。しかし、関税に関するニュースが毎日のように出続けているというのに、映画製作に対する関税案については、今日に至るまで何のアップデートもないままだ。

 やはりこれは、仲の良いハリウッド俳優ジョン・ヴォイトの提案をきっかけに、トランプが急に思いついた、本気度のかなり薄い発言だったようである。

 選挙で常に民主党の候補者をバックアップし、選挙で勝っても自分をばかにしたり、批判してきたりするハリウッド関係者は、トランプにとって憎き存在。そんな中でも堂々と自分を支持してくれたヴォイトや、シルヴェスタ・スタローン、メル・ギブソンを、トランプは「ハリウッドの特別アンバサダー」に任命した。

 彼ら3人にとっても寝耳に水の任命で、求められている役割はまるで不明。おそらくトランプの一番の目的は、自分の味方をしてくれた彼らを特別扱いし、ハリウッドに当てつけをすることだったのだろう。

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