被災地でも知事が農水省から“備蓄米を買う”のが基本だが…実は「無料放出」もあり得る制度の裏事情
“小泉米”を有事でも実現できるか?
いずれにしても大災害や戦争が起きて国民が困っている時、すぐに倉庫から備蓄米が放出され、スピーディーに手元に届く──とはいかない懸念もあるようだ。
「備蓄米制度の欠陥を象徴しているのは、JAが保管しているケースが多いことではないでしょうか。確かに“平時”であればJAのノウハウは備蓄米の保管先として理想的です。農家からコメを集め、低温倉庫に保管。保管期限を過ぎたものは飼料業者に売却する。どれもJAが得意とする業務です。しかし“有事”ではどうでしょうか。備蓄米は自衛隊が保管し、放出の際は輸送も担当する制度のほうが合理的かもしれません。他にも県庁や市役所、避難所の小学校などに低温倉庫と精米機を整備し、備蓄米を保管することも考えられます。小泉農水相は小売業者と随意契約を結んで備蓄米を圧倒的なスピードで店頭に並べて見せました。しかし有事の際にもどうやってスピード感を確保するのか、実は何も決まっていません。国民による広範な議論が必要だと思います」(同・担当記者)
第1回【大凶作や巨大地震でも“備蓄米”が「無料放出」されない根本的な理由…“有事”だろうと「入札や随意契約で売却」の知られざる背景】では政府が備蓄米を無料で放出しないのは、もともと「売却」が前提の制度という問題などを詳細に報じている──。
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