石破首相の“ギリシャ発言”の裏に政界工作あり 財務省と蜜月の政治家を見抜く「二つのキーワード」

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「トラス・ショックと状況はまったく違う」

 江田氏が続ける。

「財務省が言うように、政府債務の対GDP比のみを見れば悪いとも言えなくはないですが、その他の指標は全てでギリシャより日本がはるかに凌駕しています。石破首相は一国のトップリーダーです。財政や金融の知識がこの程度というのは困ったものですね。また、こんな市場に影響を及ぼすようなことを平気で言う感覚も問題です」

 また減税に否定的な森山裕・自民党幹事長は、演説で「トラス・ショック」を口にしている。この点については、

「22年当時、英国の首相を務めたトラス氏は、インフレ率が10%の中、財源の裏付けもなく大型減税に踏み切り、通貨、株、国債のトリプル安を招き、短命政権で終わった。当時の英国の対外純負債は49兆円、経常収支は9兆円の赤字、国債などの海外保有率は30%。ヘッジファンド等の格好の餌食になったわけです。状況がまったく違う日本が減税しても、トラス政権の二の舞には絶対になりません」(同)

“橋龍ですら簡単に騙せる”

 なぜ首相ら与党幹部は、財務省の受け売りとも取れる発言を繰り返すのか。

 かつて橋本龍太郎政権時に首相秘書官として、旧大蔵官僚と対峙してきた江田氏は、こう振り返る。

「今でも覚えているのは、当時の大蔵官僚たちは“橋龍ですら簡単に騙せる”と裏で言っていたことです。財務省は、予算や税制の説明と称し、政治家に接触しますが、政治家を掌の上で転がす手練手管を持っている。その一つが“ささやき戦術”です。例えば政治家に対して“先生、まだ他には誰も言っていない政策ですが、ご自身のアイデアとして仰って下さって結構です”などとささやくわけです。相手が大物政治家であるほどメディアも取り上げるので、政策として具現化しやすい。そこまで計算して、彼らは騙せると言っているわけです」

 キーマンとなる政治家とお近づきになるため、財務省は総理秘書官をはじめ多くの官僚を永田町へ派遣する。しかも他省庁とは異なり、国会対策に長けた専門家を常駐させているのだ。

 有料記事【財務省の「ノンキャリ政治家担当」「蜜月政治家を見抜く方法」とは? 消費減税を阻む“最強官庁”の知られざる政界工作】では、永田町に常駐している財務官僚の実態をはじめ、財務省の知られざる“政界工作”について詳述している。

デイリー新潮編集部

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