「コートが高級すぎる」「元ボーイフレンドが…」 ご成婚から32年 「雅子皇后」を苦しめた“誹謗中傷”と宮内庁の旧弊
経歴が邪魔に
ハーバード、東大、オックスフォードという超難関の3大学で学んだ優秀な外交官。そのキャリアは輝かしいうえに、天は美貌という二物まで与えた。まさに申し分のない皇太子妃が誕生するわけだが、その輝かしい経歴が、宮中ではかえって邪魔になるのではないか、という危惧がないわけではない。
「美智子皇后、紀子さま、雅子さまと、民間から3人の妃殿下が続きました。昔ならちょっと考えられないことですし、ましてOLをしていた妃殿下は異例ですよ。妃殿下になれば、自分の考えで動き、仕事をしていたようにはいきません。まず、心の切替えが大事でしょうね。自分の考えよりも、宮中の伝統や儀式に合せないといけない。それにお慣れになるのに時間がかかると思いますよ」
と、元東宮侍従の浜尾実氏は語る。美智子皇后、紀子さまは20代前半で宮中入りしている。小和田さんは、社会経験も積み、人生観、価値観も確立された29歳で新たな世界に入ることになるのである。宮中生活がどのように大変なのか。
宮中祭祀
浜尾氏は、
「まず、宮中祭祀です。例えば、1月7日は昭和天皇のご命日で、天皇皇后両陛下、皇太子殿下等の皆さんで、宮中の皇霊殿に集まりました。正式には昭和天皇祭皇霊殿の儀といいます。春分の日は宮中では春季皇霊祭と呼びますし、こうした宮中祭祀が年に20回から25回はあります。その場合、皇太子殿下ならば衣冠束帯、雅子さまなら十二単(ひとえ)を着なければなりません。十二単は着るだけでも大変なうえ、重いのでとても疲れます」
祭祀以外に、宮中晩餐会や園遊会、歌会などにも出席しなければならない。
「さらに、皇室では皇位継承順位が非常に重要視されています。雅子さまは、一番新しい妃殿下なのに、皇太后陛下、皇后陛下を除けば、女性の皇族の中ではトップになるんです。おばさまや大おばさまよりも上。それだけでも大変気を使われることだと思いますよ。しかも、そういう順位に従って使いこなさなければならない皇室言葉に慣れるには数年かかるでしょう。宮中の所作動作にしても、おばさまなどを見ながらキチッキチッと真似して場を重ねないことには身につきません」
宮中の伝統や儀式を守るのは、当然の務めと言える。しかし、宮中が「因習に満ちている」などと言われるのは、旧弊を改めず、外部の人間を頑なに拒否するからだ。
16項目の条件
宮中の人たちの旧来の感覚からすれば、小和田さんは「異例の皇太子妃」であることは、論をまたない。
かつて妃の選定にあたり、宮内庁が16項目の「条件」を定めている、と伝えられたことがある。
その10番目の項目は、
〈会社勤めやアルバイトをした女性は除かれる〉
というものだった。後になって、採用時の人物評価がこっそりささやかれたりするのは望ましくないし、また、社会人生活の間にボーイフレンドができていたら困る――というのが理由らしい。
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