「マスコミは小泉大臣に現状を伝えてよ!」 備蓄米放出でも問題は山積み… 「政府が民間在庫を把握できていない」現場から苦言
【全2回(前編/後編)の前編】
石破茂首相(68)が政権浮揚の切り札に登板させた小泉進次郎農水相(44)。就任して間もなく、随意契約による備蓄米放出がテレビでは評判で上々な滑り出しに見える。だが、現場に目を向けると「江藤米」の弊害をはじめ、ほかにもさまざまな問題が山積しているのだ。
***
【写真を見る】雨の中大行列が… 備蓄米を手に入れようと朝から集まった人々
5月31日、千葉県松戸市は早朝から冷たい雨が降り注いでいたにもかかわらず、アイリスオーヤマ系列のホームセンター「ユニディ松戸ときわ平店」には午前7時過ぎの時点で5キロ税抜2000円の備蓄米を求める客がずらりと列をなしていた。65袋分の整理券は8時配布、9時販売開始の予定だったが、6時ごろには列が規定人数に到達。先頭の男性は前日午後8時から並んだというから、備蓄米騒動の過熱ぶりがうかがえよう。
息子(30)と二人で朝5時半から並んだという、近隣の流山市に暮らすパート業の女性(54)に話を聞いた。
「普段はブレンド米を食べているのですが、それでもお米を口にするのは週に1~2回に抑えています。ほかはパスタや中華麺を使った献立を考えてやりくりしていて。備蓄米を2000円で買えるのはうれしいですが、去年の春に比べるとまだ高いくらい。それでも、銘柄米なんて今、5キロ5000円とかですから飛びついちゃいました」
「マスコミは小泉大臣に現状を伝えてよ!」
一方、整理券配布に間に合わなかった初老の男性は憤懣(ふんまん)やるかたない様子。
「朝から来たけど、備蓄米は買えなかった。違うお米を買おうと思ったけど、2キロで3000円だよ(編集部注・同店では低温製法米秋田県産あきたこまち無洗米2キロ税抜3390円)。これはさすがに無理。マスコミは小泉大臣に現状を伝えてよ!」
同じ日、小泉農水相は地元・神奈川県横須賀市内で開かれた横須賀市長の市政報告会に出席。聴衆に向けて、
「5月31日に(販売が実現)できたのは多くのみなさんの協力のおかげ。私が方向性を示したら、国民生活が苦しい中、少しでも協力しよう、何ができるかということを(企業側が)考えてくれている」
と語りかけ、自身の“手柄”に満足気な表情を浮かべた。翌6月1日には都内で大型店を立て続けに視察。品川区の「イオンスタイル品川シーサイド」を訪問後は、担当者から説明を受ける様子の動画などをXに投稿し、アピールに余念がなかった。午後には東京競馬場で行われた第92回日本ダービーの表彰式にプレゼンターとして登場。場内から大きなどよめきが起こり、「シンジロー」「コメー」との歓声も上がったのである。
[1/4ページ]