「マスコミは小泉大臣に現状を伝えてよ!」 備蓄米放出でも問題は山積み… 「政府が民間在庫を把握できていない」現場から苦言

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すっかり舞い上がっている石破首相

 すっかり「時の人」になった感のある小泉農水相について、政治ジャーナリストの青山和弘氏が言う。

「小泉農水相も、随意契約による備蓄米の放出は想像以上にうまくいっていると感じているようです。私の取材にも“もっと警戒されると思ったが、農水省が非常に協力的”“本当によくついて来てくれている”などと漏らしています」

「シン・小泉劇場」には、石破首相もすっかり舞い上がっているという。

「石破首相は前任の江藤拓氏がコメの価格を下げられなかったことに対して不満がありました。小泉農水相に代わってからは、“けがの功名だ”“備蓄米ブームですね”と周囲に語るなど、活気を取り戻した様子です」(同)

「政府が民間在庫を正しく把握できていない」

 では、コメ全体の価格は本当に下がるのか。

 元農水副大臣で現在は全国農業会議所会長を務める國井正幸氏(77)は先月27日、小泉農水相と大臣室で面談した際のやりとりをこう披露する。

「小泉さんに“なぜここまでコメが高くなっているのか、原因が分かっていないと新たな政策を打ち出すにしてもやりようがないじゃないか”と問いかけたのですが、“何なのでしょうねえ”と言うばかりで……」

 農水省が集計・公表している昨年の生産量679万トンと昨年6月末時点の民間在庫153万トンに、江藤大臣時代に放出された31万トンを加えると供給量の総量は863万トンになる。今年6月末までの1年間の需要量の見通しは674万トンなので、本来なら今年6月末時点で189トンの民間在庫が存在しているはずだ。

「訪日客で消費量が劇的に増えたとも考えにくい。年間3600万人とされる訪日外国人の平均滞在日数は9.4日。年間消費量に換算しても95万人分程度です。一方、日本の人口は昨年55万人減少しています。つまり、インバウンドを加味しても40万人の人口増に過ぎません。結局、あったはずのものがなかったのではないか。私は政府が民間在庫を正しく把握できておらず、過大に見積もっていたとみています」(同)

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