「マスコミは小泉大臣に現状を伝えてよ!」 備蓄米放出でも問題は山積み… 「政府が民間在庫を把握できていない」現場から苦言

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「JAのルートの不足分が高値で取引され……」

 農水省の担当者に話を聞くと、

「民間在庫は500トン以上の集荷業者さんや4000トン以上の卸売業者さんから毎月、報告いただいております。報告徴収という形で法律に基づいて行っておりますので、仮に虚偽の申告がなされた場合はそれなりの措置や対応が可能なものとなります。相手方も分かっていますから、過大申告はないと思っております」

 あくまで民間の報告に誤りはないとの立場なのだが、ならばなぜコメ不足は起きているのか?

「生産量は令和5年産米よりも6年産米の方が18万トン多かったのですが、今までの流通主体であったJAなどの集荷量が31万トン減っているのです。これまでJAのルートで原料を調達していた卸業者は、JAが集荷できていない分の不足分をどこかで補填するわけです。それがおそらく高値で取引されて、最終的な価格も上昇してしまったのではないかと考えております」(同)

「農水省の見積もりは甘い」

 だが元農水官僚でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁氏は、次のように解説する。

「集荷業者や卸業者の民間在庫が全て商品流通に振り分けられるということはあり得ません。なぜなら、事業者は次年度の不作の可能性も考慮して、必ずある程度の在庫を持っていないといけないからです。農水省が民間在庫の全てを供給量に含めて需給を考えているとしたら甘いと言わざるを得ません」

 山下氏は農水省が把握している生産量についても疑義を呈する。

「農水省発表の生産量は、精米する時に取り去る糠を含む玄米での重さです。農水省が白米に換算する場合は、糠を引いた歩留まり率は約90%になると機械的に試算しています。現実には粒が割れてしまったコメとか、白く濁って白粒化したコメもあり、実際にはそういうものは取り除いて消費されているわけですね。当然それは90%以下に下がるわけです」

 山下氏によると農水省側は、コメの等級検査時に正確な精米歩留まり率を把握できているはずだという。

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