「一体、何を楽しみに…」34歳・宗教2世が明かす壮絶な幼少期 ポケモンもセーラームーンもダメ
親は友達を「世の人」
友達と遊ぶことはできましたが、お泊まりはダメ。誕生日会やクリスマス会への参加もダメでした。当時はオウム真理教事件の後で、宗教がいかに怖いかというテレビ番組ばかりやっていた時期でもあって、私は周りに宗教のことを絶対に言いたくありませんでした。
学校には居づらかったですね。友達はすごく好きだったけど、親は友達を「世の人」って悪く言う。板挟みの状況でした。友達とは、「仲良くしきれない」「最後の最後、なんか違う生き物な気がする」みたいな感覚は、大学時代まで続きました。
お金に対する考え方も、その頃の教えが今でも影響しています。お金を稼いで裕福になることは良くないことだと教えられました。それは他人に勝とうとすることで、資本主義はサタンが作り出したものだから、そこに乗っかるのは悪だと。
小中高時代は、正直どうやって耐え抜いたんだろうと思います。他に道がないと思っていましたから。ただ、小さな反抗はたくさんしていました。集会の時に寝たふりをしたり、親が見ていないところでセーラームーンのグッズをこっそり買ってみたり。
「自分は(母とは)違う」いう思いはずっと揺らがなかったのですが、それをどう表現すればいいか分かりませんでした。だから「なるべく遠くの大学に進学しよう」ということだけが希望でした。
幼少期の私にとって、実家は決して心安らぐ場所ではありませんでした。宗教の教えに縛られ、友達とは見えない壁があり、どこか「普通」ではない環境だったんです。幼少期から「自分がどこに生まれたかわからない」「足元がぐらついている」感覚がありました。
だからこそ、「世の中に溶け込みたい」という強い思いが生まれました。そのために「世の人」のことを知らなきゃいけない、そうじゃないと実家に戻ってしまう、と考えていたんです。
小学校の時は、いじめられたことが一度もないんです。誘いとかをのらりくらりとかわすのが得意だったり、初めから「自分できないんだよね」というポジションを取ったりすることで、相手の懐に入り込む感覚が徐々に磨かれていった気がします。
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第3回【中年男性と行為の後、「愚痴」を聞くのが快感に 宗教2世が実家を“脱出”し「逆ナンパ」を始めたワケ】では、学生時代に繰り返した「逆ナンパ」について語っている。
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