結婚すらカネ稼ぎのコンテンツに… ヒカルの「交際0日婚」に見る「視聴者側の責任」

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視聴者との「共犯関係」もネタ動画を加速? 祝福よりも再生数が先にくる現実

 結婚は本来、二人の間で交わされる個人的な誓いだった。それが今や、何万人もの視聴者の前で公開され、称賛あるいは批判される「イベント」になっている。

 人生をエンタメに、というYouTuberの生き方は、新しい時代の表現の形であり、同時に危うさもはらんだ生き方だ。見られることで得られるお金、ファン、知名度。その裏側には、炎上、誤解、ストレスもついてくる。それでも発信を続けるには、「ただ有名になりたい」だけでは続かない時代になってしまった。

 しかし結婚報告の動画を見て、「またネタか」と冷笑しながら再生ボタンを押す私たち自身こそ、もしかすると、炎上や無理なコンテンツ化を助長しているのかもしれない。人のプライベートに興味を持ち、のぞき見て、感情的なコメントを残す。それはもう、単なる「視聴」ではなく、作品の一部を構成する「共犯」に近い。

「注目を集めること」と「尊敬されること」は違う。

 そのことを忘れない視聴者の目が、「過激な動画」に走りがちなYouTuber経済の健全さを守る鍵になるのではないか。ヒカルさんら人気YouTuberたちが人生をエンタメに変えていく中で、私たち視聴者に必要なのは、「うそか本当か」を見極める目より、過激な動画と「取るべき距離」を見極める目なのかもしれない。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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