結婚すらカネ稼ぎのコンテンツに… ヒカルの「交際0日婚」に見る「視聴者側の責任」
炎上と祝福の境界線はどこに? 峯岸みなみと東海オンエア・てつやの結婚の稀有な成功例
YouTuberは、数字がすべての世界に生きている人たちだ。動画の再生回数、登録者数、SNSのエンゲージメント。それが広告料になり、仕事になる。だからこそ、人生の節目すらも、見られることで「意味」や「価値」を持つようになった。
だが、それは同時に炎上のリスクを背負うということでもある。夫婦そろってYouTuberとなれば、結婚後の二人がどう変わっていくのかもファンは見たいことだろう。けれども順風満帆かは分からない。
プライベートを公開しているからこそ、そのすべてが「コンテンツ」としての出来を査定される宿命を背負うことになってしまう。そして全員がそうだとは言わないが、かえってトラブルが起きる方が「オイシイ」と感じる配信者も一定数いるのではないか。
ヒカルさんはかつて動画内で、「自分は芸能人じゃないから炎上しても平気」と語ったことがあるが、フォロワーが何十万、何百万といるインフルエンサーは、もはや「有名な一般人」ではない。
彼らは、影響力という意味で芸能人と同等かそれ以上の存在だ。何気ない一言、曖昧な表現、無計画な投稿が、誰かの人生を傷つけたり、誤解を生んだりもする。炎上すれば本人にとどまらず、伴侶や友人、子どもにまで火の手が及ぶこともある。
実際、ヒカルさんが過去に交際をうわさされた女性タレントたちには、「私生活の様子がネタにされるのでは」と心配する声がSNSにあふれた。週刊誌で交際報道が出るたびに「緊急で動画を回しています」とお相手のことを語るヒカルさんに対し、女性側からくぎを刺されたとの発言も。その女性との別れも、「例えばYouTubeとプライベートどっち優先するのかって言われたら、YouTube。細かい部分で2択に迫られたときYouTubeを優先してしまう自分がいて、言動行動にそういう影がちらつく」というのが、ヒカルさんの考える破局原因だったそうだ。
対照的に、やんちゃなYouTuberと女性テレビタレントの組み合わせがうまくいったケースが、元AKB48の峯岸みなみさんと、「東海オンエア」のメンバー・てつやさんだ。2022年に結婚を発表した二人は交際期間も長く、てつやさんが長年“ガチのファン”だったことも周知の事実。てつやさんの歯に衣着せぬ発言や天衣無縫ぶりは炎上を招くこともあったが、「推しと結婚するという夢をかなえた」ストーリーとして多くの人が祝福した。
昔から憧れていた有名人と結婚となれば、サプライズ企画や「再生数が稼げる」トロフィーワイフとして消費されてしまいかねない。しかし、てつやさんはそうはしなかった。動画の中でも互いにふざけ過ぎることなく、熱狂的な演出も避け、私生活とエンタメの線引きをうまく保っていたように思われる。
最大再生回数より、最愛の人の気持ち。大切な人との一大イベントだけはネタにしないという、YouTuberにとっては異例の選択が、視聴者の信頼や応援の獲得につながったといえるのではないか。しかも峯岸さんに対しては、むしろ「好感度が上がった」という声すらあった。これはYouTuberとの恋愛がタレントにとってのリスクではなく、強みにもなり得るという転換点を示した出来事といえそうだ。
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