推定評価額22億円がガレキの山に 中国でも前代未聞の豪華すぎる「違法建築物」、取り壊しが物議を醸した理由とは

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建物だけは擁護する声が多数

 巨大シャンデリアに光り輝く床、お城のような螺旋階段といった典型的な成り上がりの“豪邸”なら、「さっさと壊せ!」の大合唱になっただろう。だが、「英之園」は中国と潮汕文化をふんだんに取り入れた伝統的な家屋が大半で、見た目はかなり美しかった。つまり、モノは良かったわけだ。

 中国のネット世論では意見が割れた。「金があればなんでもできるわけではない」「法治国家で例外は許されない」という正義の声は当然だが、「今さら壊すのは資材の無駄」「もったいないので没収して別の用途に」と建物を擁護する声も多数現れたのだ。

 それでも5月28日早朝、取り壊しは終わり、22億円はガレキの山に変わった。地元当局は「近代建築であり文化財にはあたらない」と判断したものの、潮汕文化の意匠が美しい部分は解体後に保存、関係者の回収を待っている。

 取り壊しに際して陳一家は表に出てきていない。跡地は現在、道と樹木だけが“夢のあと”として残っている。

デイリー新潮編集部

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