辞令のまま異動を繰り返した40代vs.「配属ガチャは嫌」で職場を選ぶ20代 「キャリア権」に見る働きかたの世代間ギャップ

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配属ガチャの超人気企業より、配属先の確約がある会社を選びたい

 人事異動だけでなく、そもそも新入社員のときに初任地や配属先がわからず入社するというのもリスクがあると思われ始めたのがここ10年です。「配属ガチャ」という言葉も生まれました。

 最近になり、この配属ガチャについても改善する企業が目立ってきています。三井住友銀行では、2025年4月入社の新入社員から最短2年目で海外配属を確約する採用コースを新設しました。「配属ガチャ」を排することで、英語力のある優秀な社員を確保したいという狙いだそうです(読売新聞2024年10月29日付)。

 印象的だったのがL子さんの就活事情です。優秀な彼女は偏差値上位大学の経済学部でゼミ長を務め、何事にも前のめり。就活の準備においても抜きん出ていました。ガツガツと就活を頑張り一流企業の内定を取りまくり。

 そんなL子さんが内定した中から選んだのは製薬大手のT社。私には少し意外でした。彼女はもっと知名度の高い、就職人気企業トップ3常連のA社やB社にも内定していたからです。

「A社もB社も確かに魅力的です。内定を取れただけでも友達からはおおーっと尊敬されました。ですが、どこに配属されるかわからないのが大企業の怖さです。その点、T社は入社したら、本社の経営企画部に配属を約束してくれています。なのでT社の内定を承諾し入ることに決めました」

 多くの企業では「入社して研修を経て、本人の適性や希望を聞きながら、配属を決めます」と言うことが多いのですが、適性を見てというのは曲者ですね。

「配属ガチャ」に「人事異動」。これによって企業はゼネラリストを養成し、管理職になるための経験を積ませようとしてきたわけですが、昨今8割の若者が転職を視野に入れており、6割の若者は転職前提で就職を考え、3割は3年以内に辞めているのです。

 管理職にならないのなら、ゼネラリストになることの見返りはなく、自分でキャリア形成を考えていく、「キャリア権」を大切にしたほうが良いということになっているのです。

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